旅行データ解析「ADARA」が日本に参入、旅行者データを強みにビジネスを倍増へ

オンライン旅行消費者の情報データ解析を行うADARAが、このほど日本市場向けの営業活動をスタート。レイトン・ハン最高経営責任者(CEO)が来日し、10月6日に都内で航空会社、OTA、ホテル、旅行検索サイトなどのマーケティング担当者を対象に、セミナーを開催した。

ADARAは2009年に米国で創業。その後、英国、欧州、デュバイ、シンガポールなどを経て、昨年、日本支社を設立。今年から営業を開始した。ユナイテッド航空、デルタ航空など米大手航空会社からLCC、大手ホテルチェーン、レンタカー、OTA、メタサーチ・サイトなど、旅行関連企業の協力を得て、各社のサイトで検索や予約をした消費者の“足あと”データや、各社が抱えるロイヤリティ・プログラムの顧客データを集積・解析する。

このデータベースを活用し、リアルタイムでのオーディエンス・ターゲティング・ソリューション(ATS)を提供、顧客企業のマーケティング・宣伝活動支援や、実施後の効果測定を行っている。現在、パートナー企業は世界全体で100社。日本のパートナーにはエイチ・アイ・エスやトラベル.jpなどが含まれる。

ADARAのユニーク・プロファイル数は月間4.3億人。このうち国別で最も多いのは、やはり創業の地、米国で1億8500万人。日本人は現在、2000万人だが、ハンCEOは「今後6カ月で、さらに多くのパートナー企業と提携し、利用者データ数も倍に拡大する。どの市場でも、まずデータをできるだけ大きくすることが最優先課題」との目標を明らかにした。現在、大手旅行会社や航空会社などと交渉を進めているという。日本は2020年五輪を控え、政府も旅行・観光産業を重視しているため、潜在需要は大きいと期待している。

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なお、中国に未進出である理由については「当局の規制により、集積データを中国国外に持ち出すのが難しい状況」(同CEO)という。

セミナーでは、ADARAのデータベースを活用して把握可能な旅行者の動きを紹介。例えば、森下順子コマーシャルディレクターがゴールデンウィーク前は「旅行の検索が始まるのは、通常の旅行より1週間ほど早く、検索に費やす時間も同36%増」というデータを発表。また刻々と変化する利用者の状況をリアルタイムで把握しているため、「検索中なのか、すでに予約を終えた段階か。あるいは出発前か旅行中なのか。こうした動向がつかめるので、常に最適なタイミングで、最適なメッセージを投げられる」とサービスの特徴を説明した。

さらに同社では、利用者の購買力などを指標化した「トラベラー・バリュー・スコア」を独自に開発。これを活用することで「ターゲット客層を見極めながらマーケティング戦略を立案できる」(ハンCEO)という。

パートナー企業がADARAにデータを提供する際は、データを共有する相手を細かく指定できるなど、情報の保護も徹底。同様に、データを受け取る顧客に対しても、情報源を明らかにし、透明性を確保しているという。

イベント時の様子。左から、ADARA レイトン・ハン最高経営責任者(CEO)、トラベルボイスCEO鶴本浩司(インタビュアー)。

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