日本政府観光局(JNTO)の松山良一理事長が2017年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
2016年は訪日外国人旅行者数が歴年で初めて2000万人を突破。松山理事長は所感のなかで、インバウンド観光が日本の基幹産業のひとつとして再認識される年だったと振り返る。そして2017年はインバウンドのさらなる拡大を目指し、地方への誘客や質の向上に向けた取り組みを強力に推進。特に、欧米豪市場からの誘客のほか、富裕層、訪日教育旅行の活性化による若年層の取り込みなどの実現に向け、プロモーションを強化する方針を示した。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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2017年 年頭所感
―観光の力で日本をより元気に―
新年明けましておめでとうございます。
昨年、2016年は、訪日外国人旅行者数が歴年で初めて2000万人を突破しました。同年3月には「明日の日本を支える観光ビジョン」のなかで、2020年、2030年に向けた数値目標と方針が策定されるなど、インバウンド観光が日本の基幹産業のひとつとして改めて認知されるとともに、更なる責任が示された年であったように思います。
世界からみても、観光目的地、すなわちディスティネーションとしての日本への関心が高まった年でありました。米国の有力な旅行雑誌で日本の都市が魅力的な都市ランキングで1位、2位に見事に輝いたほか、オリンピック・パラリンピックの次期開催地として日本、そして東京が世界から注目されています。
こうした中、JNTOはビジット・ジャパン事業の中核を担う政府観光局として、海外事務所のネットワークを活かしさまざまな事業を実施しました。
「東北の観光復興」を協力に推進するため、日本では初となる全世界を対象としたディスティネーション・キャンペーンとして、海外の主要メディアを通じたPRや、海外メディア・旅行会社の大規模招請を行い、「外国人目線」による情報発信に尽力しました。
また、「質の高い観光」の実現という観点では、長期滞在者や比較的消費額が高い傾向にある欧州からの誘客を強化すべく、欧州15カ国を対象とした大規模な訪日促進キャンペーン「JAPAN―Where tradition meets the future」(日本-伝統と未来が出会う場所)を開始しました。
今年も、JNTOは、海外事務所を中心とした事業の企画と実施により、マーケティングの高度化を図りつつ、現地目線に立った効果的なプロモーション活動を実施してまいります。インバウンドの更なる拡大のため、「地方への誘客」、「質の向上」に向けた取り組みを強力に推進します。
新しい市場の開拓においては、欧米豪市場からの誘客に加え、富裕層や、訪日教育旅行の活性化による若年層の取り込みに向けたプロモーションを強化します。また、新たに設置する海外7事務所における現地ネットワークの強化、プロモーションの拡充・高度化に取り組みます。
MICE分野においても、引き続き、各都市やコンベンション推進機関に加え、会議施設、宿泊施設等の皆様、そしてMICE誘致アンバサダーの皆様のご協力も仰いで、アジアで1位の国際会議開催件数を維持するよう、取り組みを継続してまいります。
インバウンドの拡大は、地域の活性化に繋がり、地方創生の重要な柱となるものです。観光産業の裾野を広げ、インバウンドの果実を日本のすみずみまで届け、観光により地方を、そして日本をより豊かに、元気に、明るくすることが、われわれJNTOの使命です。国、地方自治体、民間企業等の関係者の皆様とともに、これまで以上にインバウンドの拡大に向け全力で取り組んでまいりますので、なお一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日本政府観光局(JNTO) 理事長
松山良一