日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏が2017年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
田川会長は昨年を、観光立国から観光先進国への道筋を描き出す節目の年だったと振返り。2017年は、「観光先進国を目指すこと」の意味や業界全体の方向性を明確にしていく年になると予測する。
具体的には、大規模イベント「ツーリズムEXPOジャパン」の位置づけを再定義してアジアの観光リーダーとしての日本を目指すと同時に、「海外旅行復活」「地方創生」などをキーワードとする活動などを継続して推進。旅行会社が自ら真価を発揮できる仕掛けづくりしてきたいとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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2017年 年頭所感
―旅行会社の真価の発揮―
あけましておめでとうございます。
昨年、政府より「明日の日本を支える観光ビジョン」が策定され、2030年までの目標が出来ました。軸が示されたということでは、「観光立国」から「観光先進国」への道筋を描き出すという節目の年だったと言えます。
今年は、「観光先進国」を目指すとはどういうことか、また、その中でツーリズム産業はどう変わっていくべきなのか、明らかにしていく年です。
JATA事業「ツーリズムEXPOジャパン」は、ツーリズム産業の現状や取組の「見える」化を3年計画で目指してまいりました。3年目を迎えた“ジャンプ”の昨年は、UNWTOやWTTCのトップの方々から直接、世界の潮流を伝えていただきました。今年からは第2ステージとして、このイベントを観光産業全体で盛り上げ、日本がアジアの観光リーダーとなるにふさわしいBtoBを意識したイベントにしたいと考えています。
昨年「海外旅行復活」を目指し、渡航者数は5%程度伸びる見込みで、一定の成果を挙げましたが、旅行会社の取扱の伸び率にバラツキがあったのが、実情です。改めて企画力、提案力、添乗力など旅行会社の価値を市場に問う時だと思います。引き続き、「海外旅行復活」を目指し、旅行会社自らがマーケットを動かすために仕掛ける年にしたいと考えています。
訪日旅行では、昨年、旅行者数が初めて暦年で2000万人を超えました。日本人と訪日外国人を合わせた観光需要で観光による地方創生を実現させる時がきました。地域観光の担い手であるDMOに対する期待は益々大きくなります。DMOの育成に当たっても旅行業の果たす役割は大きいと考えられます。また、リピーターを増やすために「ツアーオペレーター品質認証制度」も活用し、質の向上も継続して行っていきます。さらに、ランドオペレーターやシェアリングエコノミー問題にも積極的に関与していきます。
今年は、昨年のようなオリンピックや新幹線開業などの大型イベントがありません。「マーケットを動かすために仕掛ける」を念頭に、旅行会社の価値の見える化を図る年であり、「旅行会社の真価の発揮」の年としたいと考えております。
本年も引き続きご指導ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人日本旅行業協会(JATA)
会長 田川博己