星野リゾート、新ブランドを立ち上げ、山岳観光に特化、快適な宿泊体験をコンセプトに、第1号は国立公園の尾瀬に開業

星野リゾートは、同社として6つ目となる新ブランド「LUCY(ルーシー)」の立ち上げを発表した。同社代表の星野佳路氏が、2025年4月22日に開催したプレス発表会で明らかにした。2025年9月1日に、第1号となるホテル「LUCY尾瀬鳩待」を群馬県・尾瀬国立公園に開業する。

LUCYは山岳観光に特化したブランドとし、施設カテゴリを「山ホテル」と定義。日本の山岳観光で定着している「山小屋」の主要客層である登山客に加え、「もう少し幅広い客層に、気軽に山を楽しんでいただけるホテルを作っていく」(星野氏)。

そのため、従来の日本の山岳観光では困難だった「快適な宿泊体験」を提供すべく、「プライベートの寝室」「温水洗浄トイレ」「シャワー&パウダールーム」など6つのブランドプロミスも設定。コンセプトに「心揺さぶる山ホテル」を掲げ、山ならではの体験が身近になるような、新しい旅の形を提案する。星野氏は「登山客以外にも、山を旅先の選択肢に入れていただくのが、新ブランドのミッション」と市場開拓への意気込みも示した。

右が「LUCY 尾瀬鳩待」左は日帰り施設「はとまちベースCafe & Shop」

日本の観光振興に「山のリブランド」が必要

新ブランドの展開には、同社がかねてから訴えてきた、日本の観光振興に向けた課題である「観光の分散化」と「自然観光の強化」への思いがある。

星野氏は、インバウンド宿泊者数の約70%が、東京や大阪など大都市のある5つの都道府県に集中していることを指摘。「これが、オーバーツーリズムの現象が起きる理由の1つ。逆にいうと、ほとんどの県はアンダーツーリズム(観光客が少ない観光地)。この是正が今後、インバウンドが成長し、地域が観光の恩恵を受けるうえで非常に重要」と話し、日本では文化観光だけではなく、自然観光を強化し、山の観光コンテンツを作る重要性を強調した。

星野氏は「山を観光の拠点として、現代の観光客にあう形にコンテンツを書き直していく作業をする。これを山のリブランドと呼んでいる」とも説明した。

さらに、米国のヨセミテ国立公園にある「アワニーホテル」やイエローストーン国立公園の「オールドフェイスフルイン」をあげながら、「世界には山岳ホテルがたくさんあり、世界の観光客がこういう場所に集まる」と説明。日本にも35の国立公園や世界遺産をはじめ、自然の豊かな場所が多いことを話し、日本における自然観光のポテンシャルを示唆した。

新ブランド「LUCY」で開拓を目指すマーケット

「最高の尾瀬ハイクがはじまるホテル」

新ホテル「LUCY尾瀬鳩待」は、尾瀬国立公園の入り口で、バスでのアクセスが可能な鳩待峠に立地。客室は全25室、ドミトリー(1名定員)、ツイン(2名定員)、フォースルーム(4名定員)の3タイプで、いずれもプライベートを確保した個室タイプだ。

コンセプトに「最高の尾瀬ハイクが始まるホテル」を掲げ、ホテル内にはパブリックスペースのほか、シャワールーム、ロッカースペースに、山のハイキングに行く前の“ラストコンビニ”も備える。夕食には具沢山の豚汁をはじめ、肉や魚、卵、山の幸の副菜も提供する。

さらに、宿泊するからこそ楽しめる夕日や朝日、夜の時間のアクティビティやコンテンツも提供。ホテルのそばには、カフェとショップ機能を備える「はとまちベースCafe & Shop」も開業する。ホテルの宿泊予約は、2025年6月2日に開始。宿泊料金は、1泊 1万4050円〜(2名1室ツイン利用の1名あたり、税・サ込、夕食付)。

客室は3タイプで、写真は4人部屋のフォースルーム

夕食の豚汁。コンビニではドーナツやカレー、いなり寿司、ビールにつまみなど様々な商品を販売

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