エイチ・アイ・エス(H.I.S.)常務取締役でH.I.S.ジャパンのプレジデントの中森達也氏が2017年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
所感の中で中森氏は、昨年は国内・訪日・海外旅行市場それぞれに「変化」が求められた一方、テロや地震などの発生により"旅行が平和を基盤とした産業"であることを再認識した年だったと振り返る。2017年のH.I.S.は「未来創造型企業」実現を目指し新たな価値創造に挑戦。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、AI(人工知能)といった最新技術も活用しながらタビマエ・タビナカ・タビアトまでをカバーするサービス展開し、需要拡大につなげていく方針を明らかにした。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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2017年 年頭所感
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
振り返ると2016年の旅行市場は、円高基調に加え、6年半ぶりの燃油サーチャージゼロという環境もあり、海外旅行は、3年ぶりに日本人海外旅行者数が前年を超えプラス成長に転じました。しかしながら、ヨーロッパにおけるテロが各地で相次ぐなど、海外渡航先でのお客様の案全確保について改めて考えさせられた1年でした。一方で、熊本地震発生の際には、自治体、観光施設と連携のもと“旅のチカラ”を通じて支援を行うなど、復興に貢献できる一面も顕在化することが出来たことは、同時に旅行は平和を基盤とした産業であることを再認識する機会となりました。訪日旅行においては、政府が外国人旅行者数を4,000万人とする新たな目標が設定されましたが、訪日旅行者の旅行目的の変化など、海外旅行・国内旅行・訪日旅行それぞれに、今まで通りの対応ではなく、変化することを求められた1年であったと感じております。
そのような状況下においてH.I.S.では、お客様に期待以上の満足をご提供できるよう、弊社ならではのチャーター便の就航や、独自の企画商品の造成、海外拠点を活かしたサービスを展開して参りました。OTAや、C2Cのプラットフォームビジネスなど、新しいビジネスモデルを持った業態のプレーヤーが躍進し、お客様にとっての購買行動にも変化がみられるなか、旅行会社として旅行市場をより活性化さるには、新たな価値創出が今まで以上に必要であると感じています。手配業者では無く、ひとりでも多くのお客様に旅の素晴らしさを伝え、旅をしなければできない経験、味わえない感動を実現できる商品をいかに提供していくか、今後の市場拡大には新たな顧客の創造が必要不可欠であり、私たち旅行会社の役割が重要であると感じています。
2017年は、VRやARを活用した新しいサービス展開を店舗に導入し、“旅マエ”の充実を図ります。また、オンラインにおいてAI技術の導入や、旅行中には言語の自動翻訳などのIT技術を用い、旅行者と受入側のコミュニケーションのハードルを低下させるなど、着地点における独自サービスの充実に加え“旅ナカ”の不安要素軽減を図る取り組みもしてまいります。“旅アト”においては、SNSを通じた画像投稿などユーザーコミュニケーションの更なる強化、専門店におけるコミュティの創出など、旅を検討・計画、準備段階からご旅行実施後、次のご旅行を検討されるまで、お客様と関わりが持てるコミュニケーションフィールドとして位置付けることで他業界との連携も積極的に行い、旅の感動をより身近に感じていただける様な事業展開をすることで需要拡大を目指します。
長期に渡るコミュニケーションを持って接するお客様として、団体・法人といった業務、公務の分野にも積極的に取り組んでまいります。海外旅行・国内旅行・訪日旅行を通じた、相互理解の促進を図り、日本各地の皆様とともに地域活性化にも寄与してまいりたいと考えております。
私どもH.I.S.は、創業37年目を迎えました。私たちを取り巻く環境はめざましいスピードで変化していますが、今お客様が求められているのは何か、この先お客様が求められるのは何かをイメージし、新たな価値を提供していく“未来創造型企業”の実現を目指し、旅を通じて人類の創造的発展と世界平和に貢献してまいります。
本年も引き続き、株式会社エイチ・アイ・エスおよびH.I.S.グループへのご理解、ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
株式会社エイチ・アイ・エス 常務取締役
H.I.S. JAPAN プレジデント
中森達也