旅行260社に聞いた業況感は海外旅行が横ばい、ネット系旅行会社は国内が大幅減・訪日が大幅増 ―JATA調査(2018年10~12月)

日本旅行業協会(JATA)の旅行市場動向調査(2018年12月期)で、2018年10月~12月期の海外旅行の業況感は、前期(2018年7~9月)と同じく「-3」で横ばいになった。1年前(2017年10~12月)と比較すると13ポイント上昇したが、今後3か月間は8ポイント低下し、「-11」となる見通しだ。

この調査は日本旅行業協会が会員各社と中連協会員など647社を対象に四半期毎にネットで業況に関するアンケートを実施しているもの。今回の調査は260社からの回答をまとめた。質問事項に対して「良い」「普通」「悪い」「取り扱っていない」という評価を求め、「良い」の割合と「悪い」の割合の差分を算出して景気動向指数(DI:ディフュージョン・インデックス)に加工。DIの範囲は「全て良い」が100、「全て悪い」が-100となる。

国内旅行DIは前期(2018年7~9月)と比較して5ポイント上昇して「-5」。3か月後は9ポイント低下して「-14」。訪日旅行DIは前期より1ポイント減となり「0(ゼロ)」、3ヵ月後には、6ポイント減の「-6」となる見通し。

JATA:報道資料より

分野別の動向は以下のとおり。

海外旅行:総合旅行会社が大幅回復傾向、遠方は低下もミクロネシアや中国が上昇

海外旅行の動向を業態別にみると、今期の総合旅行会社は23ポイント増の「34」で好調。ホールセラーは10ポイント減の「7」、ネット系旅行会社は62ポイント減の「-50」と大きく落ち込んだ。

方面別では、今期は夏季休暇の終わりの時期と重なり、3か月前と比較すると欧州(7ポイント減の-10)、アメリカ・カナダ(10ポイント減の-30)などの遠方は低下。一方でミクロネシアは13ポイント増の「-28」、中国は5ポイント増の「-31」と上昇した。

客層別では、今期はファミリーが12ポイント減の「-19」となったほか、「学生(教育旅行を除く)」が11ポイント減、一人旅が9ポイント減と縮小。一方で、「商用・視察」(6ポイント増)やシニア(5ポイント増)は上昇した。3か月後は全体的に低下が続く見通しで、ハネムーンは3ポイント増の「-29」、学生は13ポイント増の「-27」と回復傾向を示すものの、前年同期と比較すると低水準で継続するとみている。

国内旅行:ネット旅行会社が大幅減、災害の影響続く北海道は大幅減で継続の見通し

国内旅行の業態別では、総合旅行会社が16ポイント増の「5」、国内旅行ホールセラーが9ポイント増の「-16」で上昇。しかしネット系旅行会社は42ポイント減の「-75」で、今後6か月後まで今期同様の低水準で継続する見通しとなった。

方面別では、今期は北海道が地震の影響で37ポイント減の「-29」と大幅低下となり、ふっこう割の効果は限定的だった状況が明らかに。甲信越と東北も12ポイント減した一方で、近畿は7ポイント増、山陽・山陰は5ポイント増と上昇した。3か月後も北海道は「-25」で前年より大幅減。京阪神(京都・大阪・USJ)も12ポイント減と低調が続く見通しとなっている。

客層別では、今期は一部で自然災害の影響が残るものの団体旅行が好調。ただし、3か月後は軒並み減少の見通しに。個人旅行はファミリーが11ポイント減、一人旅が6ポイント減となっており、3か月後は唯一プラス圏内だったシニアも15ポイント減でマイナスに転じる見通しとなっている。

訪日旅行:ネット系旅行会社は大幅増、中国・台湾・韓国の上昇は半年後に期待

訪日旅行の今期の全体業況は1ポイント減の「0(ゼロ)」。業態別では、ネット系旅行会社が100ポイント増の「100」で好調だが、訪日旅行系旅行会社は8ポイント減の「-12」と低下した。

客層別では、今期はFITが5ポイント増となったが前年同期と比較すると11ポイント減で苦戦している状態。MICEも前年比12ポイント減の-17で低調で、いずれも3か月後も大きな動きは見られない見通しとなっている。

出身国別にみると、今期は3か月前と比較して香港と台湾が上昇したものの、豪州は14ポイント減の「-33」で大きく低下。その他地域も軒並み減少傾向となった。3か月も中国が11ポイント減、台湾が8ポイント減、韓国が6ポイント減と不調で、全体的な上向きが期待できるのは6か月後以降となりそうだ。

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