2024年1~7月の間で、訪日外国人の数はすでに2000万人を超えた。今後もさらなる増加が見込まれている。2030年までの国の訪日客数の目標は6000万人だ。訪日客の増加にともなって、観光施設や宿泊施設は多言語対応や、人手不足問題を解消する業務効率化が喫緊の課題となっている。
観光DXの必要性が高まるなか、アルプス システム インテグレーション(ALSI)は、観光事業者が活用できるリモート接客・受付「InterPlay Elastic Framework(インタープレイ・エラスティック・フレームワーク)」で、課題解決に取り組んでいる。そのサービスの中身を紹介する。
オンラインで多言語インバウンド対応
ALSIは、電子部品からシステムソリューションまで手掛ける総合メーカー アルプスアルパインのグループ会社として1990年に設立。製造業の現場で培った「ものづくり」の思想を原点に、「デジタル」「セキュリティ」「AI・IoT」などのソリューションを展開している。
ALSIが提供するサービス「InterPlay Elastic Framework」は、AI、アバター、インタラクティブサイネージ、多言語など、さまざまなコミュニケーション機能を搭載した「リモート接客・受付システム」だ。遠隔地のスタッフがオンラインでリモート接客や受付、窓口応対などをおこなうことを可能にする。また、AIによる観光案内、多言語翻訳によるインバウンド対応など、さまざまな接客の場面におけるサービス向上や省人化に活用できる機能を備える。
人材不足が課題となる観光産業では、特に活用範囲は幅広い。たとえば宿泊施設では、夜間・早朝などの接客業務を無人/リモート応対とすることで、現場スタッフの人員を最小限に抑えることが可能となる。また、各フロアに端末を設置することで宿泊客がフロントに移動することなく各種問い合わせが可能になる。
さらに、宿泊施設に限らず、観光・レクリエーション施設、観光案内所などでも、AIチャットボットやタッチパネルによる無人接客のほか、遠隔地からのリモート応対が可能となることで、勤務場所・時間の制約を超えた新たな人材の雇用創出も期待できるだろう。
インバウンド対応では、現在のところ14ヶ国語に対応。観光施設やホテル、外国人旅行者が多く訪れる店舗で、さまざまな言語でリモート接客・受付をおこなうことができる。また、ビデオ通話による会話のリアルタイム自動翻訳で、言語の壁を越えたスムーズなコミュニケーションを実現している。
さらに、夜間・早朝の応対窓口としても活用が可能。災害・緊急には、遠隔から防災モードに切り替え、普段使いのサイネージ端末で避難誘導や情報提供などをおこなうことも可能だ。
大阪の「ホテル サクラスイート大阪」では、受付カウンターに「InterPlay Elastic Framework」を導入した。夜間・早朝に「無人コンシェルジュ」として遠隔地からの接客業務をおこなうほか、サイネージは観光情報や館内施設アメニティ紹介の案内板としても活用。自動翻訳機能により、外国人旅行客とのコミュニケーションも円滑になったという(※)。
ダッシュボード機能搭載などアップデート
今夏、「InterPlay Elastic Framework」はアップデートをおこなった。新たに接客端末の利用状況を見える化するダッシュボード機能を搭載した。
具体的には、曜日・時間帯別のビデオ通話・コンテンツ閲覧状況などの接客端末の利用状況や、対話履歴などの情報を見える化。これによって、費用対効果の可視化や来訪者ニーズに合わせた応対・情報案内、コンテンツ・人員配置の適正化などに活用できるようになる。
また、オペレーターが共有した画面を利用者が操作することができる同時操作機能も新たに追加した。例えば、旅行会社などの窓口でオペレーターが商品の申し込みページを共有し、利用者が案内に従って必要事項を入力、内容を確認したうえで申し込むことが可能になり、案内から申し込みまでの一連の手続きをリモートで完結できるようになった。
そのほか、多言語翻訳・チャット利用時の音声発話機能や画面レイアウト変更のサポートなどをアップデートし、利便性を高めた。
「トラベルソリューション展」で実機体験
ALSIは、2024年9月26日〜27日に東京ビッグサイトで開催される「トラベルソリューション展」に出展し、AIによる観光案内、リモートでの接客や受付、窓口応対などのデモンストレーションを「InterPlay Elastic Framework」の実機で体験できる機会を提供する。
トラベルソリューション展とは、「ツーリズムEXPOジャパン」と日本経済新聞が共催する観光領域の課題解決に特化した展示会。さまざまなDXソリューションが出展する。
ALSIとしては、実際に「InterPlay Elastic Framework」に触れることで、その実力を実感してもらいたい考えだ。
※2024年1月~3月に実施した実証実験の事例です。
記事:トラベルボイス企画部