JTBが瀬戸内・小豆島で「エリア開発」始動、地域と挑む「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」のナカミを聞いてきた(PR)

JTBは、地域行政や事業者との共創、自主事業の開発を通じて観光地の実感価値向上と持続可能な発展を目指す「エリア開発事業」を、瀬戸内・小豆島で開始した。行政や事業者、地域振興に関わる組織とともに「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」を発足。様々な事業者とともに、シェアサイクルや自動運転バス、AI自動運転ボート、ドローンなどの事業化を目指している。

瀬戸内国際芸術祭の成功で注目される瀬戸内エリアだが、小豆島は1950年代から始まった人口減少が止まらず、地域の持続可能に対する危機感は強い。“日本の縮図”といえる社会課題を抱える小豆島で、未来を見据えた観光地づくりに取り組む地域とJTBの取り組みとは? JTBのエリア開発事業の特徴から、本プロジェクトの狙い、目指す姿を、JTBと現地関係者に聞いた。

日本の“縮図”小豆島がJTBとの未来づくりを決めるまで

日本三大渓谷美といわれる寒霞渓や特産品のオリーブなど、多様な魅力にあふれる小豆島。神戸や姫路、岡山、高松に航路を有しており、全方位からの誘客が可能な稀有な離島だ。2025年は大阪・関西万博と瀬戸内国際芸術祭がダブル開催となるほか、現代アートで人気の直島に新たな美術館が開館する予定。瀬戸内エリアへの注目度が、さらに高まることは間違いない。

その一方、小豆島は大きな課題も抱える。島内人口は1950年に減少し始め、現在はピーク時の約4割となる2万5000人まで減少。全国と比較すると、人口減少に早くから直面してきた。

小豆島は高度経済成長期を前に人口減少が始まり、日本の数十年先の姿を映す

地域の事業者は観光による外需に支えられてきたが、コロナ禍で観光需要が見込めなくなると、事業継続が一気に難しくなった。

観光面では「宿泊施設の廃業が相次ぎ、需要が回復した今も人手不足で受け入れがままならない。来島者に占める宿泊者の割合は、2023年に33%にまで低下した。必然的に経済効果も落ちている」と、小豆島交通代表取締役社長の中村彰紀氏は話す。貸切バスやタクシー事業、旅行事業などを手掛ける同社も、人手不足でフル稼働ができていない。タクシー事業の稼働率は2019年の7~8割だという。

1周約100キロの小豆島。観光の足はレンタカーが主流だが、運転をしない観光客のニーズは約30台のタクシーと運行本数が限られた路線バスでは受け止めきれない。中村氏は「交通課題を解決しなければ、地域は衰退していくだけ」と危機感を示す。

2017年から同島の観光振興や環境整備に携わる、小豆島・瀬戸内エリアマネジメント協会代表理事の海老原孝礼氏は「小豆島の変革は避けられなくなり、地域も事業者も変わろうと動き始めた」と島内の意識変化を説明。同協会は2023年10月、小豆島町と、観光、交通、環境、エネルギー、教育などの課題解決に向けた、包括連携協定を締結した。

同協会と、JTBのエリア開発チーム企画担当マネージャーの高島達朗氏が出会ったのは、ちょうどこの時期だ。当初、海老原氏はJTBに対して従来の旅行事業のイメージしかなく、小豆島の課題解決に資する事業を、責任を持っておこなってくれるのか、半信半疑だった。しかし「JTBのエリア開発事業の方針や担当者の思いを聞くうちに、地域にとってこれ以上のパートナーはいない」と確信したという。

左から)JTBの高島達朗氏、小豆島・瀬戸内エリアマネジメント協会の海老原孝礼氏

自らがプレーヤーとなり、地域内の循環を生む呼び水に

JTBの「エリア開発事業」は、地域行政や事業者との共創、あるいは自主事業開発を通じて、観光地の実感価値向上と持続可能な発展を目指す事業。地域における投資開発をおこなうことで新しい投資を呼び込み、上がった収益が地域に再投資されるような正の循環を目指して、地域と正対している。2023年2月からは地域と向き合い、ストック型のビジネスモデルを目指す「エリアソリューション事業部」内に、エリア開発事業を推進する「エリア開発チーム」を設立し、体制を強化している。

そんななか、JTBのエリア開発チームが瀬戸内・小豆島に目を向けたのは、以前、高松支店に所属していた高島氏が、そのポテンシャルと現状とのギャップに大きな可能性を感じていたことが背景にある。

高島氏は「将来の日本の縮図といえる小豆島で、地域とともに未来を見据え、持続可能な観光地作りができれば、このモデルを同じような課題を抱える全国の観光地に横展開できる」と、同エリアで取り組む意義を強調する。

JTBのエリア開発事業はコンテンツ開発による交流創造で終わらず、収益化して再投資し、地域の価値を向上していくのが特徴

最新テクノロジーを活用した実証が続々

こうして、地域とともに発足した「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」。小豆島の未来を見据え、観光を基盤とした持続可能な産業をつくることを使命としている。

第1弾として、2024年8月1日にシェアサイクル事業を始動した。「小豆島の観光は2次・3次交通の充実が不可欠」(海老原氏)と、小豆島・瀬戸内エリアマネジメント協会が取り組んできた事業を拡充し、新たにJTBが最新式の車両160台を導入。サイクルステーションは42カ所に拡大した。既存の路線バスなどの交通網と連動することで、来訪者にとってより利便性の高いサービスとなることが期待される。中村氏は「島内の交通事業者も相乗効果に期待している」という。

また第2弾として9月には、土庄町とJTB、小豆島交通、交通ソリューションのscheme verge(スキームバージ)社、自動運転技術での移動サービスを開発するBOLDLY(ボードリー)社などと共同で、瀬戸内の離島における初の自動運転バスの走行実証を実施。11月には第3弾として、将来的な人手不足の解消と運航効率化の実現を目指し、エイトノット社などが参画した自律運航無人ボートの実証をおこなった。さらにAIドローンを活用した観光コンテンツ開発などにも取り組んでおり、JTBも積極的に投資している。

規制が絡む新技術の実証には行政側の協力が不可欠だが、小豆島の2町(小豆島町、土庄町)は協力を惜しまない。小豆島・瀬戸内エリアマネジメント協会理事で、ドローン関連事業やサービスを開発するfly(フライ)社CEOの船津宏樹氏は「小豆島のドローン飛行環境を生かし、観光誘致につながる新たなサービス開発に取り組むことができている」と小豆島の対応に感謝している。

左から)小豆島・瀬戸内エリアマネジメント、fly社の船津宏樹氏、小豆島交通の中村彰紀氏

「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」で目指す姿

「20年先の小豆島を作るプロジェクト」は「観光」「教育」「環境」の3点を軸に、地域の課題解決とエリアの価値向上、発展を目指している。観光誘致の最優先課題である交通の確保の手段として、省人化、テクノロジーの活用が不可欠だが、そのためには通信と電力(エネルギー)の安定供給が欠かせない。開発のために自然を損なえば本末転倒になる。そこで同プロジェクトでは、離島の観光振興におけるエネルギーの重要性を考慮し、「観光と教育、環境をセットで取り組んでこそ、未来の小豆島をつくることになる」との考えで一致した。

だからこそ、プロジェクトの段階的指標で、観光分野の「島内宿泊率40%、宿泊者数50万人」などとともに、教育分野の「将来の人材育成のためのSTEAM教育」や、環境分野の「安定的な再エネ普及・離島モデルの構築」などの設定がある。船津氏によると、島内の中学校教育に、ドローン関連の学習が組み込まれた例もあるという。

中村氏は、「20年先を見据えたプロジェクトの基礎を作るのが、今、小豆島で事業をしている我々の役割。このプロジェクトで、島で育った若者たちが魅力と誇りを感じ、自らも島の発展に貢献しながら、住み続けてくれること。あるいはいったん都会へ出ても帰ってきてくれる、そんな島を実現したい」と未来の姿を描く。

「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」で課題解決と未来に向けた事業が次々と実施へ

離島の町が新ビジネスに挑戦したり、気鋭の事業者を呼び込んだりするのは簡単ではない。しかし海老原氏は「JTBの参画によって格段に開発のリアリティが上がった。小豆島での経験を、成功も失敗も含めて全国の各地域で生かしてもらえるのが、JTBと組む意義だと思う」と力を込める。

高島氏は、「小豆島での課題解決は、日本の未来に繋がるものになる。エリア開発事業のビジョンを日本の縮図である、ここ小豆島で体現したい」と、多くの事業者の参画を呼び掛けている。

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記事:トラベルボイス企画部

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