東京商工リサーチが全国の経営者を対象に実施した調査によると、2014年の日本の景気について「良くなる」と回答した経営者は全体の47.3%と約半数を占めた。「横ばい」は42.9%で、全体の9割が景気上昇か現状維持と予測。株価についても「上昇する」が49.6%、「横ばい」が38.3%で、景気回復への期待感が表れている。
ただし景気予想を地区別でみると、北海道で「良くなる」の比率が35.7%と、9地区の中で唯一4割に届かなかった。中部は「良くなる」は40.8%であったものの「悪くなる」も12.7%で9地区の中で最も高かった。公共事業への依存度が高い北海道では人手不足や資材高騰への不安、自動車関連業界がけん引する中部では国内生産・販売の低迷予想や消費増税の引き上げへの懸念などが強く、地区によって景気に対する見方が異なるようだ。
対ドル円相場については「円安」予想が34.6%で、「横ばい」をあわせると87.7%を占めた。産業別の「円安」の回答は金融・保険業が42.3%と高く、不動産産業39.7%、卸売業39.5%、小売業37.7%、運輸業34.8%が続き、為替変動の業績への影響が強い産業で「円安」が強い結果となった。逆に「円高」は建設業16.1%、農林漁鉱業15.7%、運輸業15.1%など、内需型の産業で高いという。
消費税率8%から10%への引き上げ時期については、現在予定されている「2015年10月」は17.2%と2割に満たなかった。最多は「2016年4月」(41.9%)で、次いで「引上げなし」が28.4%と多かった。東京商工リサーチでは、景気上昇を予測しつつも、現在の景気動向にまだ力強さを感じていない結果が表れているとする。
月次賃金についても「変わらない」が58.4%と約6割。「ダウンする」は3.8%と少ないものの、「アップする」は37.6%で4割に満たなかった。景気回復への強い期待をする一方で賃上げには慎重姿勢を維持し、足元固めを優先する経営者が多いようだ。「アップする」を地区別でみると、近畿が40.2%で最も高く、九州39.3%、関東39.1%、中国39.0%と続いた。大都市ほど「アップする」傾向が強いものの、自動車産業の多い中部は35.2%と弱く、先行きを慎重に見ている状況がうかがえる。
同調査は2013年11月14日~11月22日までインターネットで実施し、3539社から有効回答を得た。