三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、訪日外国人客に対して実施した「首都圏の公共交通利用に関するアンケート調査」から、さらなるサービス水準の向上には情緒的な面の価値提供にも目を向け、「電車に乗る体験」をより良くする姿勢が不可欠だと提言した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、自由旅行中の公共交通機関の利用は多い順に「地下鉄」(85.3%)、「JR」(62.2%)で、満足比率をみると地下鉄は95.6%、JRは96.8%といずれも9割を超えた。内訳は、「速さ」「正確さ」「安全性・治安」は評価が高かったものの、一方で「快適さ」「楽しさ」「分かりやすさ」「安さ」は低評価の結果となった。分かりにくい場所としては「地下鉄が2種類ある」25.4%、「路線網が複雑すぎる」24.5%の2点が上位に挙げられた。
地下鉄で「分かりにくい」と回答の多かった4つのプロセス「目的地までのルート選択」「切符購入」「乗り換え」「目的地に近い出口を探す」の改善のためには、外国人客が観光時によく利用するガイドブックやスマートフォン、交通パス、案内表示での情報提供機能を高度化させ、観光案内所と連携した普及・推進が必要だとしている。
特にICカード型交通パスについては、訪日外国人客だけが利用できるICカード型パスを発行することで、乗車時のみならず、買物の利便性も向上するうえ、利用履歴をマーケティング・データに活用できると進言。事業者の枠を超えて活用できる枠組みの整備が望ましいとしている。
なお、同調査ではあわせて、観光時に情報収集のために利用したツールも調査。「ガイドブック・マップ」(88.2%)に次いで「スマートフォン」(83.8%)となり、8割以上の外国人がリアルタイムでインターネットによる情報入手をしていることが判明した。外国人向け観光案内所(ツーリスト・インフォメーション)は「利用していない」は21.8%で、約8割が何らかの観光案内所を利用。「空港」(57.6%)、「JR駅」(42.7%)、「地下鉄駅」(35.6%)での利用が多く、インターネットをしながらもリアルな観光案内所の役割は依然として大きいことがうかがえる。
(トラベルボイス編集部)