観光庁はこのほど、訪日外国人の観光動態データを発表した。携帯電話の基地局情報(ローミングデータ)やGPS情報、SNSへの投稿情報など、ICTを活用して収集したデータを分析したもの。
それによると、都道府県別で日本人と比較して外国人が集中する地域は、東京と大阪。宿泊時間帯(04時台)では、両都市における集積比率(日本全体を1としたときの日本人または訪日外国人の割合を示す数値)は日本人が約16%に対し、外国人は約45%となった。2015年5月分のデータは以下のとおり。
そのほか、地上移動を対象にした流動状況をみると、2016年1月のデータでは東京から京都・大阪までのゴールデンルートへの集中がみられたことが判明。また、広島など特定場所を対象にした訪問傾向を分析。例えば広島市内で滞在が30分以上を超えた場所は、原爆ドームのほか平和記念資料館、広島駅などの観光拠点、ホテルやゲストハウスといった宿泊施設周辺に集中することが確認された。さらに、広島訪問前よりも訪問後のほうが、広島以北や以西など周辺地域に流動していることも確認されている。
なお、SNS投稿情報をもとに、国内各地で「見る(ランドマーク)」に関連する単語が含まれた発言を分析したところ、中国、台湾、香港、韓国からの旅行者では共通して「新宿」に関する投稿が最多。中国は「富士山」が2位、「銀座」が3位。「台湾」は「ミナミ(大阪)」が2位、「上野公園(東京)」が3位。韓国は「名古屋」が2位、「道頓堀(大阪)」が3位。一方、米国からの訪日客では1位が「富士山」、2位が「新宿」、3位が「箱根」。いずれも人気スポットやゴールデンルートが上位にランクされているものの、国によって傾向は異なることが判明している。
一方、「食べる」に関する投稿では、中国と香港、韓国からの訪日客で最も多かったのは「ラーメン」。台湾は「ビール」、米国は「寿司」がトップだった。
「買う」に関する投稿では、中国の1位は「お菓子」、2位「コスメ」、3位「着物・浴衣」。香港は1位が「バッグ」、2位「本・ポストカード」、3位「おむつ」。米国はバッグのほかカメラ、着物・浴衣などが上位となっている。
今回の調査で収集されたデータの対象期間は、2015年1月から2016年1月まで。ローミングデータは、訪日外国人データ数の約30万台、四季ごとに1ヵ月を調査。GPS情報は訪日外国人データ数のべ2万5000名について、移動状況や訪問回数、所在情報を収集。SNSでの投稿はのべ約11万6000件が対象となっている。