日本最大級の体験予約サイト「asoview! (アソビュー)」は、日本フェンシング協会と協業し、フェンシング競技をタビナカ・コンテンツとして提供するサービスを開始した。これは、スポーツ庁が推進する「平成30年度スポーツ産業の成長促進事業『スポーツビジネスイノベーション推進事業』」を日本フェンシング協会が受託し、協業先としてアソビューを選定したもの。アソビューはサイト上に特設ページを造り、フェンシング教室での体験予約を可能にするほか、フェンシングのルール解説や魅力を伝えるコンテンツの配信も行うことで、マイナースポーツであるフェンシングの「レジャー化」を進めていく。
日本フェンシング協会会長の太田雄貴氏は、2008年の北京五輪で同氏が銀メダルを獲得したことで、競技の知名度が上がり、フェンシングの競技人口も約1500人から現在は約6000人に増加したものの、卓球やバトミントンのように一般の人が気軽に体験できる環境がない現状を指摘。そのうえで、「フェンシングをメジャーにしていくためには、始めたい人と体験できる場所とのマッチングを解決することが重要」と話し、今回のアソビューとの協業の背景を説明した。
アソビュー代表取締役の山野智久氏は、同社がアソビュー会員に対して実施したフェンシングに関する調査について説明した。認知度は99.4%と高いものの体験者は0.2%。しかし、体験意向は53.6%あり、特に30代までの若者層では73.8%と高いことから体験コンテンツとして「非常に大きなチャンスがある」との期待感を表した。そのうえで、「習い事ではなく、遊びの感覚で、フェンシングの敷居を下げていきたい」と意欲を示した。
アソビューで予約可能なコンテンツは、墨田区の「リッツフェンシングアカデミー」と調布市の「東京ガーデンフェンシングクラブ」の2ヶ所での体験。フェンシングの裾野を広げる意味から6歳から体験可能にした。また、2月7日には、特別イベントとして渋谷キャストで「フェンシングパークproduce by asoview!」を開催。アソビューで応募した中から2人にメダリスト太田氏と対戦できる企画も用意する。さらに、2月10日と16日には、「トップアスリートが教える初めてのフェンシング体験」も行うことで、フェンシング体験の予約拡大につなげていきたい考えだ。
今回のスポーツビジネスイノベーション推進事業による委託事業は今年2月28日までだが、その後も体験予約は継続していく。
アソビューでは、フェンシング以外にもアーチェリー、ボルダリング、サーフィンなどのスポーツ体験を提供しており、スポーツツーリズムのコンテンツとして集客を増やしているという。山野氏は、「ボッチャや車いすバスケットなどパラリンピック関連のコンテンツもおもしろい」と話し、今後さらに他競技団体との連携を探っていく考えも示した。
スポーツ庁の鈴木大地長官は、「競技団体は選手強化だけではなく、将来のアスリート輩出のために普及とマーケティングに取り込んでいくことも大切」と強調。スポーツの成長産業化に向けて、「今回のアソビューとフェンシング協会との取り組みはロールモデルになる」と期待をかけた。スポーツビジネスイノベーション推進事業の第1号案件が今回のフェンシングで、現在アイスホッケーの事業も進んでいるという。スポーツ庁としては、2020年の東京オリンピック・バラリンピック以降も各競技団体が自活していけるように支援を進めていく方針だ。