日本観光振興協会(日観振)、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は2023年10月26日、「ツーリズムEXPOジャパン(TEJ) 大阪・関西」を開幕した。開会式では、TEJ組織委員長の山西健一郎氏(日本観光振興協会会長)が「万博を控え、日本の観光が復活した姿を世界に発信する絶好の機会」と力を込めた。「未来に出会える旅の祭典」をテーマに、コロナ禍を経て多様化する観光産業の未来像を示す。
コロナ禍を経て、リアルで開催されるTEJは昨年に続いて2年目。開催規模は、コロナ前と同レベルまで回復した。展示商談会には世界70カ国・地域からセラー1037名、バイヤー529名が参加。出展小間数は1442小間(国内635、海外490、その他317)、事前マッチングによる商談は5768件。10月26、27日は業界日、28、29日は一般公開日で会期中15万人の来場者を見込んでいる。
TEJ開幕にあたり、開会式では岸田文雄首相がビデオメッセージを寄せた。首相は、日本の観光が急回復し、8月の訪日客の宿泊者数がコロナ前の水準を超え、一人当たりの旅行消費額も20万円を超えたことに触れ、「観光立国推進基本計画の目標を前倒しで超えた」と評価した。
一方で、「オーバーツーリズムの懸念も生じている」状況をあげ、地方誘客の促進を盛り込んだ対策を実行に移すことで「持続可能な観光を実現していく」と明言。コロナ前の観光の姿に戻るのではなく、観光の生産性・収益性をあげ、高付加価値化を推進することで観光の恩恵を広げ、文化や自然保全につなげる取り組みを推進していく考えを示した。
ウェルカムレセプションでは来賓として菅義偉前首相が挨拶に立った。菅前首相は、日本のインバンド観光が「コロナ前を超える勢いで力強く回復している。コロナ禍の間に磨き上げてきた日本の観光の魅力を、今こそ発信する機会」と話し、TEJを好機として観光の発展を祈念した。
また、衆議院議員の二階俊博氏は、観光の果たす役割に言及。「観光は平和産業であり、平和でしか成り立たない。観光を推進することは平和を推進すること」と話し、観光による交流がより広がるよう呼び掛けた。
開催地として挨拶にたった大阪府の吉村洋文知事は、万博開催までの道のりで課題は多いものの「それを乗り越えて万博を迎えよう」と呼びかけた。
開幕初日には、「未来のために、ツーリズムを『再考(Rethink)』する」 をテーマに基調講演や観光大臣会合なども開催。大臣会合では、各国や国際的な観光機関のリーダーらが観光産業が力強い回復を見せる中、新たな課題が顕在化していることを共通認識とし、持続可能な観光の実現とコミュニティ重視の姿勢が重要との意見を共有した。
27日にはテーマ別のシンポジウムが開催される。
日本政府観光局、インバウンド商談会を同時開催
日本政府観光局は、TEJの同期間・同会場でインバウンド商談会「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート(VJTM)」を同時開催する。初日の商談会場では、4年ぶりのリアル開催で活気ある商談が始まった。
今年は、海外33国・地域からバイヤー261社、国内からのセラー300団体・社が参加。4年ぶりの完全リアル開催で、日本のDMOや観光事業者が海外の旅行会社に訪日旅行商品をセールスする。26日~28日の間に、6000以上の商談が行われる予定だ。
開催まで2年を切っている大阪万博をアピールする重要な機会として、特に「万博+観光」の商品を紹介する。また、国内外で人気が高い「せとうち国際芸術祭」が万博と同年開催となるたため、商談会後に実施する視察ツアーのテーマには「アート」を盛り込んだ。
また、高付加価値商品を海外事業者に売り込むため、初の試みとなるテーマ別の商談分科会を実施する。各セラーがバイヤー向けにプレゼンを行い、その後に商談する形式で「サステナブル・ツーリズム」「アドベンチャー・トラベル」「アート・カルチャー」の3つのテーマをアピールする。