2026年の中国の国慶節連休中、国内旅行1回あたりの平均消費額が過去4年間で最低水準に落ち込んだ。国内消費の力強い回復への期待が薄れる一方、中秋節と組み合わせた長期休暇を活用して海外旅行へ向かう動きや、支出を厳選する「メリハリ消費」の傾向が顕著になっている。
中国文化観光省によると、2026年の国慶節休暇(2026年10月1日から7日)の中国の国内旅行者数は延べ8億2600万人、総旅行支出額は約7383億8000万元(約17兆円)だった。前年は中秋節と重なった8連休で、国内旅行者数は延べ8億8800万人、総旅行支出額は約8090億元(約18.6兆円)。日数の違いを調整した1日平均では、2026年の国内旅行者数は前年比6.3%増、総旅行支出額は同4.3%増となった。
一方で、1日平均の旅行者数や総支出額が増えるなかでも、旅行1回あたりの消費額は減少した。ロイターの試算によると、同期間の国内旅行1回あたりの平均消費額は893.92元(約2万600円)となり、前年同期の911.04元(約2万1000円)から1.9%減少した。これは、厳格な移動制限が敷かれていた2022年(680.60元)以来の低水準となる。
長引く不動産不況や賃金の伸び悩み、不安定な雇用環境が家計マインドの重荷となっており、フォースライト・セキュリティーズ(Forthright Securities)のアナリストは「消費者の購買意欲自体がなくなったわけではなく、将来の収入や雇用見通しに対する不確実性が支出を抑制する主な要因になっている」と分析している。
「長期・遠方への海外旅行」が増加
海外旅行(アウトバウンド)市場は活況を見せた。今年の国慶節連休(7日間)は前年より1日短かったものの、直前の中秋節連休(9月25日〜27日)と組み合わせることで、最大13日間の長期休暇も可能となり、より長期で遠出への旅行を後押しした。
オンライン旅行大手トリップドットコム・グループ(Trip.com Group)によると、同社経由で予約された海外航空券の過半数が10月1日より前の出発で、平均旅行日数は9日を超えた。さらに、海外ホテルの7泊以上の長期宿泊予約は前年比123%増、複数都市を巡る周遊ツアーの予約も84%増と大幅に伸びた。
コスパ重視の「厳選支出」
海外渡航の需要は強まる一方で、旅行者のコスト意識は依然として高い。マーケティング会社ドラゴン・トレイル・インターナショナル(Dragon Trail International)の調査では、連休中に海外旅行を計画した回答者は54%(前年同期は35%)に達したが、宿泊先として「高級ホテル」を選ぶ予定としたのは5%にとどまり、「中価格帯ホテル」が33%で最も人気を集めた。
こうした支出抑制の動きは国内のホテル指標にも表れている。ジェフリーズのアナリストによると、10月1日〜5日の国内ホテルの客室1室当たりの売上高(RevPAR)は前年同期比0.5%減、平均客室単価(ADR)は約2%下落した。
旅行各社は連休以降のアウトバウンド需要に対しても楽観的な見方を示している。上海の旅行大手・春秋グループの旅行部門である春秋旅遊(Spring Tour)では、9月のビザ申請件数が前年同月の2倍以上に増加。欧州(イタリア、スペイン、フランス)や豪州、北米などが人気の渡航先となっている。同社によると、混雑するピーク期を避け、連休後に渡航を計画する層も増えており、第4四半期から来年にかけて海外旅行需要の拡大が続くと見込んでいる。
※中国元円換算は1中国元23円でトラベルボイスが換算
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