東京のホテル不足感、2020年には大幅に緩和の見通し、新ホテルの開業ラッシュで、一方で大阪は不足が継続 ―みずほ総研

みずほ総合研究所はこのほど、国内の宿泊施設不足をテーマとする調査報告書を発表した。それによると、新規ホテルの開業が急速に進むことで、2020年の東京では大幅緩和になる見通し。また、東海や九州、沖縄でも不足が解消に向かうとの推計が得られた。一方、大阪では新規開業がおこなわれるものの引き続き施設が不足する見通しとなった。

これらの結果を受け、みずほ総研では、2017年に国会への新法案提出が予定されている「民泊」の位置づけが、特に大阪での宿泊施設不足を緩和する一助になるものと分析。また、ホテルの開業時期がずれこんだり、訪日外国人数が予想以上の伸びを示した場合は、全国的な宿泊施設不足が継続する可能性もあるとしている。

今回の調査は、同研究所が2016年に発表したレポート「訪日外国人4000万人時代の宿泊施設不足」の内容をベースに、新規宿泊施設の開設計画などの情報を簡易的に更新。需給バランスを再推計したものだ。

ここでは、日本人と外国人の受給バランスについて9種類のシナリオを用意し、地域別に実際の不足数を試算。日本人の宿泊需要については「上振れ」「下振れ」「標準」の3パターンを、外国人には「標準」「上振れ」のほか、宿泊地域が分散することなどを想定した「分散」パターンを設定。標準については、すべての変数が2015年から変わらないことを想定し、上振れや下振れについては宿泊日数や旅行回数の振れ幅を変数にして算出した。

その結果、東京では標準パターンである「シナリオ1」で900室余裕がある状態となるほか、9つのシナリオのうち4つのシナリオで不足が解消。ただし、大阪ではいずれのシナリオでも施設不足が生じる状況となっている。

今回の試算に用いたシナリオと、2020年におけるホテルの受給バランス(不足数)は以下のとおり。

みずほ総合研究所:報道資料より

なお、同調査レポートでは、2017年の訪日外国人旅行者数を前年比16%増の2800万人規模となる予測も発表。また、2017年のインバウンド消費額は前年比18.2%増の4.4兆円程度に至ると試算している。同社では、一人当たりの支出は下げ止まる一方で、旅行者数の増加に牽引されるかたちでの伸びを予測している。



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