フランスのブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方の各観光局がこのほど来日し、日本市場での旅行者獲得に向けた訴求ポイントなどを説明した。マリー=ギト・デュフェ地域圏議長を団長とする経済ミッションの一員として約3年ぶり来日したもので、新型コロナ発生以降、日本が初の訪問国となった。
ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方は、フランス東部のブルゴーニュ、ジュラ山地、ヴォージュ山塊という3エリアから成る。中心都市ディジョンへはパリから高速列車で1時間半の距離。
デュフェ地域圏議長は、経済ミッションの来日について、「日本とはさまざまな産業で共通する点が多い。日本からの投資もさらに呼び込んでいきたい。その中で、ツーリズムは大きな武器になっている」と説明。日本でも知名度の高いブルゴーニュワイン、コンテチーズ、マスタードなどの食産業を観光コンテンツとして強化していくほか、自転車やハイキングなど自然系アクティビティの訴求にも力を入れていく考えを示し、日本の旅行会社に対して旅行商品の企画を呼びかけた。
ソフィー・オリエ=ドマ地方観光局局長によると、コロナ前の2019年に同地方を訪れた日本人旅行者は約1万6000人。旅行者層は、パリからの日帰りが多いが、そのうち多くがリピーターとなり宿泊につながっていた。若い層を中心に語学留学の需要も高まっていたという。
ビッグイベントでの宿泊機会に期待
コロナ禍で現地の観光産業も大きなダメージを受けたが、同地方では事業継続に向けた支援を実施。デュフェ地域圏議長は、コロナ禍では域内旅行需要も高かったことから、閉鎖する宿泊施設やレストランは限定的だったと話す。ドマ局長は、現地の宿泊施設の価格について「値崩れを防ぎ、正当な価格を保ち、質を上げることに努めながら、他の地方との差別化を図っていく」考えを示した。
このほか、2023年のラグビーワールドカップ、2024年のパリ五輪というビッグイベントも「大きな観光の機会」と捉える。パリ市内やパリ近郊は宿泊需要が高まり、宿泊施設の価格が上昇する可能性があるなか、ドマ局長は「高速鉄道でパリへのアクセスがいいディジョンなどは、治安の面でも価格の面でもアドバンテージが出てくるのではないか」と期待を寄せた。
ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方には、8ヶ所の世界遺産、6つのワイン街道、38軒の星付きレストラン、9カ所の「フランスの最も美しい村」がある。デュフェ地域圏議長は「この地方には日本人がイメージするフランスがある」と強調。食に加えて、ル・コルビュジェ設計の「ロンシャン礼拝堂」をはじめとする建築、ブザンソンの時計産業などの工芸など、「日本人の関心が高いコンテンツは多い」とアピールした。