オーシャニアクルーズは2024年3月19日、客船「リビエラ」(約6.6万トン、乗客収容数1250人)の横浜寄港にあわせ、旅行会社とメディアを対象にした船内見学会を開催した。3月と4月に横浜発着で13日間の日本発着クルーズを2本運航する。
同社では、以前からワールドクルーズの途上に日本の各港に寄港するクルーズを運航してきた。コロナ禍が明け、日本寄港を再開した2023年には日本発着クルーズを開始したが、今年は初めて「リビエラ」を配船。収容客数を以前の3万トンクラスの客船(684人)から倍増させた。
来日した同社インターナショナルセールス担当副社長のジェイソン・ワース氏によると、グローバルではすでにコロナ禍以前を上回る勢いで推移しており、特に「日本を訪れるクルーズの需要の高まりを受けて対応した」と説明。同社のメイン市場である北米、英国、豪州からの乗客で、ほぼ満船となった。2025年は、日本発着クルーズを「リビエラ」で2本、「レガッタ」(約3万トン、乗客収容数684人)で1本を予定し、さらに拡大する計画だ。
オーシャニアクルーズは2003年に初就航した比較的新しいクルーズ会社。“上級プレミアムクラス”と称し、フォーマルが不要のスタイリッシュな雰囲気で、3万トンから6万トン程度の中型客船を運航する。乗客収容数を一般的なプレミアムクラス客船の3分の1程度に抑え、1人あたりの占有スペースにゆとりを持たせているほか、食と寄港地を重視したクルーズを提供するのが特徴だ。
食に関しては、乗客10名につき料理人1人が乗船し、乗員の半数が調理や配膳サービスに従事。「洋上最高の料理」を提供すべく食材を厳選し、すべての料理は注文を受けてから調理する。食事のシーンだけでなく、乗客向けの船内体験用にカリナリーセンターを設け、シェフによる実践型の料理教室を開催するほか、寄港地では市場や農場、レストランを訪れ、その土地の食文化を深く知る「カリナリーディスカバリーツアー」も用意する。
また、寄港地は大小の港を織り交ぜ、訪問地をじっくり楽しめるよう、停泊を設ける旅程も多い。寄港地観光では、その土地の核心に触れる少人数のツアーを企画。地域の家庭や地場産業の現場を訪れ、仕事とライフスタイルを知る「ゴーローカル」ツアーをはじめ、地域や企業の環境への取り組みを学ぶツアー、地域のアイコン的な建築物を学ぶツアーなども提供する。日本寄港ではまだ設定されていないツアーもあるが、ワース氏によると、こうしたテーマ性に富んだツアーは人気が高いという。
一方、日本市場は、海外クルーズの販売が中心で「アジアで1位」(ワース氏)。コロナ禍後の回復は世界からは遅れたが、ワース氏は「徐々に伸びている。日本寄港・日本発着クルーズを実施することは日本市場での需要喚起にもつながり、相乗効果がある」と話す。同社では日本オフィスに3名のセールス担当者を置き、今後のさらなる増加に期待している。
なお、オーシャニアクルーズは2025年に新造船「アリューラ」(約6.7万トン、乗客収容人数1250人)を就航。全8隻体制で運航する。
横浜港は2023年の寄港回数が9年ぶり1位に
船内見学会では、リビエラの横浜初寄港にあわせ、記念式典を開催。横浜市港湾局長の中野裕也氏は、リビエラの初寄港に歓迎の意を表すと同時に、コロナ禍を経た横浜港の状況を共有した。
2023年、横浜港には171回の寄港があり、9年ぶりに寄港回数が日本1位となった。2024年は、210回まで伸びる見込みだ。中野氏は、現在、横浜港には7隻同時に着岸できることを紹介し、「今後は東アジアの発着拠点港としての地位確立を目指す」と意気込みを述べた。