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米大手銀行のバンク・オブ・アメリカは、2025年の富裕層市場が2024年と異なる形で成長するとするレポートを発表した。
この数年、高級ブランドグッチの親会社ケリング・グループでは中国での需要の落ち込みによって厳しい状況に直面している。一方、高級品の需要が弱まっている中でも、プラダやエルメスなど競合他社のビジネスは堅調だ。高級ブランド市場に与える影響を特定するのは難しい。
インフレが鈍化し、需要が回復の兆しを見せる中、バンク・オブ・アメリカのアナリストは、新たな富裕層市場に新たなトレンドが生まれると見ている。あるアナリストは「2025年は高級ブランドにとって、浮き沈みのある年になるだろう」と話す。
バンク・オブ・アメリカは、問題は需要の増減ではなく、この業界自体にあるのではないかとの疑問を投げかけている。アナリストの一人は、「特に中国経済の回復の遅れが長引いたり、斬新なクリエイティブやブランドエンゲージメントが欠如すると、“マンネリ”がもっと構造的になってしまう恐れがある」と指摘する。
高級ブランド市場に見られる別の問題は、販売量の減少。今年はその販売量が焦点となる。特にサプライチェーンに関するコストが下り、価格状況が変わる可能性がある。富裕層は、これまで価格上昇分を許容してきたが、それも限界に近づいている。高級ブランドは、今後の成長のためには、別の方法を探さざるを得なくなる。
今後の成長に向けて、高級ブランドはソーシャルメディアに目を向けている。バンク・オブ・アメリカのアナリストは「ソーシャルメディア、特にインスタグラムは、販売の重要な推進力となっている」と話す。インスタグラム上の主要高級ブランドのフォロワー数は2015年比で6倍に増加しているという。
日本とEUで需要低下と予想
国別に見ると、高級品への支出が完全に回復していない中国では、需要は横ばいになる可能性がある。また、日本とEUでは今年、需要は低下すると予想。中国からの観光客が高級ブランドへの支出を押し上げるかもしれないが、中国人観光客の需要が以前ほどではないことから、それは限定的と見ている。「2023年以降、欧州の高級ブランドの売上は、好調な観光産業に支えられてきた。しかし、2025年は逆風が吹くかもしれない」と話すアナリストもいる。
また、トランプ大統領による関税が、欧州に拠点を置く大手高級ブランドにどの程度の打撃を与えるかも不明だ。
ファション市場ではここ数年、「クワイエット・ラグジュアリー(控えめなラグジュアリー)」がトレンドとなってきた。ラグジュアリーファッションでは、常に模倣文化が存在する。ユニクロなどでも、その「スタイル」を手に入れることは可能だ。大手高級ブランドは、「クワイエット・ラグジュアリー」を超えるために、再び独自性を発揮する必要があるのかもしれない。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいてトラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。