サービス連合では今春闘を、人材獲得・確保と持続可能なサービス・ツーリズム産業の実現に向けた大きな転換点と位置づけ、定期昇給含む5%の賃金改善を目標に掲げている。このほど記者懇談会を実施し、方針を説明した。
2024年3月31日現在、今春闘で要求書を提出したのは132組合中67組合で、賃金改善の要求を掲げたのは64組合。そのうち63組合が実質的な賃金改善(ベア)を要求し、60組合がサービス連合が掲げた定昇含む5%以上の賃金改善を要求をした。10%を超える水準で要求している組合もあるという。
このうち、5%以上の賃金改善で合意済となったのは要求書を掲げた半数弱の27組合。実質的な賃金改善では、要求書を提出した半数超の34組合が合意済となった。
一時金も、要求書を提出した半数強となる33組合が合意。夏季一時金での合意が中心で、平均1.76カ月。ホテル・レジャー業を中心に、前年実績以上での合意が多かった。最低保証賃金の改善も、14組合が合意している。
さらに、今春闘は働きやすい労働環境の構築への取り組みが目立ち、47組合が労働環境に関する各種要求を実施。特に、休日数の増加や1日の所定労働時間の短縮、年次有給休暇の拡大・取得推進など、総実労働時間の短縮に向けた取り組みが多い。来年4月の高年齢者継続給付金の段階的な廃止に向けた定年延長や高年齢者の労働条件改善など、将来を見据えた取り組みも増えているという。
サービス連合会長の櫻田あすか氏は、今春闘の現状について「過去最高水準の賃金引き上げをしている」と手ごたえを述べ、来年以降も継続されることに期待を示した。今後、今春闘で本格化していく中小企業の加盟組合の交渉に対しても、全面的に支援をしていく方針だ。
また、人への投資については「産業の魅力を高めることが、人材の獲得・確保につながる。企業側もまず人に投資してモチベーションを上げ、業績につなげることを見据えていると思う」と話した。そのためにも、適正価格に対する消費者の理解促進の必要性にも言及した。