帝国データバンクは、100業界219業種について、各業界の企業業績や経営環境に基づいた2013年度(2013年4月~2014年3月)の動向と2014年度(2014年4月~2015年3月)の展望を調査し、最も良い「快晴」から「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」、最も悪い「雷雨」まで、7段階に分類した「業界天気図」の集計を行い、その結果を発表した。 *右図は帝国データバンクのプレスリリースより
結果によると、旅行業とホテル・旅館業に関しては2013年動向・2014年展望ともに「薄日」の結果に。帝国データバンクは、旅行業については「国内観光スポットへの注目の高まりにより、国内旅行と訪日外国人旅行が伸び、増収傾向となる見込み」と解説。ホテル・旅館業については「訪日外国人客数の続伸に加え、景気回復による法人宴会需要増加の見通し。東京五輪開催決定が好材料」と説明している。
▼2013年度の動向:全219業種のうち81業種が「晴天」
7段階の天気のうち、快晴・晴れ・薄日の3段階を「晴天」に、小雨・雨・雷雨の3段階を「雨天」に分類すると、2013年度の動向は全219業種中81業種(構成比37.0%)が「晴天」と、前年度(42業種)から39業種増加。このうち、最も良い「快晴」は2業種で前年度比1業種増、「晴れ」は16業種で同7業種増、「薄日」は63業種で同31業種増と「晴天」の増加が顕著となった。
一方、「雨天」が64業種(構成比29.2%)で、前年度(92業種)を28業種下回った。このうち、「小雨」は31業種で同16業種減、「雨」は24業種で同5業種減、最も悪い「雷雨」が9業種で同7業種減となった。前年度からの天気の好転・悪化状況を見ると、「好転」は89業種(構成比40.6%)にのぼった一方、「悪化」は8業種(同3.7%)にとどまった。
業種別では、『建設』は公共工事の増加に加えて、民間設備投資の持ち直しが追い風となり、大手ゼネコンだけでなく中堅クラス以下の企業においても増収が目立ち、2013年度は前年度の「曇り」から「薄日」へ好転。また、『人材派遣』もクライアント企業の経営環境が改善したことで、業績が事務系、メーカー系を問わず堅調に推移し、「曇り」から「薄日」へ好転した。
同じくクライアント企業による経費削減の影響などが続いていた『広告代理店』は、経営環境の改善により広告宣伝意欲が高まったことから、前年度の「小雨」から「薄日」へ2段階好転した。また、製品のコモディティ化が進み厳しい価格競争に晒されている『家電製造』も、テレビの不振が続くなか、エアコンや冷蔵庫、洗濯機などの大型の白物家電を中心に出荷を伸ばし、「雷雨」から「小雨」へ2段階好転した。
▼2014年度の展望:全219業種中「晴天」が71業種
2014年度の展望を見ると、全219業種中「晴天」が71業種(構成比32.4%)と、前年度(81業種)から10業種減少した。このうち、最も良い「快晴」は前年度と同じく2業種、「晴れ」は15業種で前年度比1業種減、「薄日」は54業種で同9業種減となり、「晴天」の減少が目立った。
一方、「雨天」は前年度と同数の64業種(構成比29.2%)。このうち、「小雨」は29業種で前年度比2業種減、「雨」は26業種で同2業種増、最も悪い「雷雨」が前年度と同数の9業種となった。前年度からの天気の好転・悪化状況を見ると、「好転」は18業種(構成比8.2%)にとどまり、前年度(89業種)から大幅に減少する見通しとなった。一方、「横ばい」は170業種(同77.6%)にのぼり最多、「悪化」は前年度(8業種)から23業種増え、31業種(同14.2%)を見込む。
業種別では、『介護サービス・有料老人ホーム』は、団塊の世代が75歳以上となる2025年にかけて市場拡大が予想されるなか、2013年度にサービス付き高齢者向け住宅供給促進税制が延長されたことなども追い風となり、2014年度も引き続き「快晴」を見込む。
2013年度にエコカー補助金終了の影響が収束し、北米やアジア市場が好調に推移した『自動車製造』は、消費税増税後の反動減で国内市場が停滞。海外市場は引き続き好調を見込むものの、前年度に寄与した円安効果も一巡するうえ、新興国通貨安なども懸念され、「快晴」から「晴れ」へ悪化する見通し。
『住宅(戸建て)』は、住宅ローン金利が低水準で推移しているものの、消費税増税後の着工戸数の減少が大きく影響し、2014年度は「薄日」から「曇り」へ悪化。同じく『住宅(マンション)』も販売戸数の減少で「曇り」。住宅業界は、建材価格や労務費の高騰にともなう販売価格の上昇などから、さらなる下振れも懸念される。また、住宅業界の悪化により、賃貸物件などを手がける不動産仲介や、木材・金属などの建材関連のほか、住宅設備機器、家具などの周辺業界もそれぞれ悪化する見通し。
住宅業界同様に駆け込み需要後の影響が懸念される流通・小売業では、アベノミクス効果で高額品販売が好調だった『百貨店』(2014年度「曇り」)のほか、衣料品小売、ディスカウントストア、ホームセンターなどでも収益環境の悪化が見込まれる。生活関連商品などで消費者の低価格志向が一段と強まることから、大手スーパーなどは大都市圏でのドミナント出店を加速しており、低価格業態への進出を強化している。このため、流通・小売業全体を巻き込み、業態の垣根を越えた競争激化が予想される。
電力・ガス業界や出版業界の『出版社・出版取次』、外食業界の『居酒屋・ビアレストラン』など計9業種では、アベノミクス効果による景気回復局面にあっても、前年度に続き「雷雨」の見通し。
(トラベルボイス編集部)