世界2大オンライン旅行会社(OTA)プライスライン・グループとの競争に勝つのは、旅行会社にとって、並大抵のことではない。なにしろ同社が2016年にマーケティングに投じた金額は、過去最高の35億ドル(約3850億円)にもおよぶ。
そしてこの潤沢な広告予算の恩恵が最も大きかったのは、グーグル(Google)のようだ。このほどプライスラインが公表した財務データと2016年決算資料で明らかになった。
プライスライン・グループは、ブッキング・ドットコム(Booking.com)、プライスライン、カヤック(KAYAK)、アゴダ(Agoda.com)、レンタルカーズ(Rentalcars)、オープンテーブル(Opentable)の各ブランドを展開。2016年度のパフォーマンス広告への出費は、前年比27%増となった。
一方、グループ全体でのブランド広告コストは、前年の2億7400万ドル(約300億円)から2億9600万ドル(約325億円)と、控えめな増額にとどまった。
歳出内容を項目別に見ると、2016年度のパフォーマンス広告費は、情報テクノロジー関連投資のほぼ25倍規模となっている。
プライスライン・グループの昨年度業績発表で、ダン・フィネガン最高財務責任者(CFO)はアナリストの質問に対し、フェイスブック(Facebook)など新たな流通チャネルが登場してはいるものの、コア・サーチ(クリック広告=PPC)は「依然として重要」なマーケティング戦略であるとの考えを示した。
さらに同社にとって最大の広告チャネルはグーグルであり、「実際の結果にも満足している」(同CFO)。
一方、ソーシャル・ネットワーキングの雄、フェイスブックでの広告展開について、グレン・フォーゲル最高経営責任者(CEO)は、同社のマーケティング担当チームが引き続きフェイスブック側と「プロダクトの改善」に取り組んでおり、より大きなマーケティング予算を投入する可能性もあるとしている。
同CEOは「当社の事業をヘルプしてくれる相手は、常に探している。投資効果のある顧客を連れてきてくれて、当社のサービスを直接、利用するリピーター顧客を開拓するようなこと。しかし現段階では、まだまだ時期尚早」、「いま現在、(フェイスブック側と)一緒にがんばっているところで、将来的には何かしらの成果を期待している。ただ、確実に何かを始めるとも言えない。前向きな協力関係は継続していく」と話した。
ライバルのエクスペディアは2016年、広告費に43億ドル(約4730億円)を投じており、こちらも前年より約10億ドル(約1100億円)の増額となっている。
※この記事は、世界的な観光産業向けニュースメディア「トヌーズ(tnooz)」に掲載された英文記事を、同編集部から許諾を得て日本語翻訳・編集しました(トラベルボイス編集部)。
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オリジナル記事:Google can rejoice: Priceline Group spent $3.5 billion on PPC in 2016