旅行先でのツアーやアクティビティなど、タビナカ業界に特化したイベントや調査などを展開するArival(アライバル)社はこのほど、欧州でのタビナカ予約をテーマとするレポート「Tour & Activity Booking in Europe(欧州におけるツアー&アクティビティ予約)」を発表した。
この調査は、オンライン旅行代理店(OTA)やマーケティング担当者などに向け、急成長が続く欧州タビナカ市場を分析したもの。アライバル社と欧州拠点のタビナカ予約プラットフォーム「bookingkit(ブッキングキット)」が共同でとりまとめた。
同レポートでは、「オンラインプレゼンス」「モバイルフレンドリー」「事前予約フローの提供」がキーになると分析。市場拡大に向け、これらの要素を生かした新たな事業展開が期待されるとしている。
英国ではオンラインでの検索が5割以上に
レポートによると、欧州の旅行者がタビナカ体験の検討で利用するのは、パソコン(34%)、モバイルデバイス(14%)、家族や友人からのクチコミ(12%)の順。クチコミやガイドブックは年配者や長距離旅行者に重視される傾向がみられる一方、35歳以下の層はモバイルの活用が最多。フランス、ドイツ、英国の主要3市場で比較すると、オンラインの利用は英国が最も多く、55%がPCやモバイルを利用。ドイツ(48%)やフランス(42%)は半数に満たない結果となっている。
利用サービスは「グーグル」「トリップアドバイザー」が2大人気
また、検討時に利用するサービスをみると、「グーグル」(56%)と「トリップアドバイザー」(38%)が群を抜いて多く、ツアー&アクティビティ関連サイトの利用が20%、OTAサイトが19%、旅行先に関する情報サイトが18%と続く。
ただし、旅行者のうち、実際にモバイルやPCでタビナカ体験の事前予約をおこなう割合は30%未満。そのほか、対面によるチケット窓口での購入(22%)、旅行代理店(10%)、ホテルのコンシェルジュ(7%)など複数の手段で購入する状況が確認された。レポートではこの状況について、ツアー&アクティビティの運営者による「オンラインプレゼンス(オンライン上での存在感)」が十分に発揮されていないことを示唆。特に18~34歳の若年層層に向け、宿泊や航空券と同様にタビナカ体験のモバイル予約を可能にすることが最重要課題だと説明している。
タビナカ体験は1週間前から検討、「直前予約」派も
では、旅行者はどのタイミングで実際にタビナカ体験を予約するのか。レポートによれば、タビナカツアーなどの調査検討を開始するのは「旅行の1週間前から前日まで」(44%)が最多で、同時期に実際に予約までを行う割合は36%。一方、「現地到着日」に検討を行う割合は18%と低下する一方で、当日予約をおこなう人も3割程度存在する。
この理由についてレポートでは、「現地に到着するまで何をするか決定したくない」層がいるほか、「現地に到着するまで、何が予約できるかわからない」旅行者も多いと分析。事業者側は、ユーザーが旅行計画段階で利用しやすい「事前予約の導線」を提供することが必要だとしている。
なお、旅行調査事業を展開するフォーカスライトは先ごろ、米国でのタビナカでの現地体験(travel activities)市場規模が旅行総予約の8%を占める340億ドル(約3兆7400億円)に至ると推計。タビナカ分野が航空、宿泊に続く第3のマーケットになると分析するとともに、今後は旅行者の行動に伴う新たなビジネスモデルの提供が必要だとしている。