京都市は、令和元年(2019年1月~12月)の京都観光総合調査の結果を発表した。毎年、年に1度、京都市に訪問した人を対象に実施しているもの。(今年から、より実態に近い数値とすべく、アンケートによる推計から宿泊税データを活用した数値算出の手法に変更しており、一部は前年と単純比較ができない数値となっている。算出手法の異なる数値は「※」で表示。)
これによると、観光消費額(※)は1兆2367億円。前年の1兆3082億円より減少となったが、4年連続で1兆円を超えた。これは、京都市民の年間消費支出の約55.4%(81.3万人分)に相当するという。
内訳は、日本人が9049億円(前年9357億円)、外国人が3318億円(同3725億円)。宿泊客数(※)が1317万人(同1582万人)と減少したことで、宿泊客の消費額も15.7%減の7466億円に減少した。一方で、日帰り客の消費額は16.0%増の4901億円で2ケタ増となった。
宿泊客数(※)のうち、外国人は380万人(同450万人)で、全体の28.9%を占めた。地域別ではアジアが56.8%、欧州17.8%、北米14.5%、豪州5.6%となっており、京都市では国のバランスがとれた割合だとしている。
観光客数は前年比1.5%増の5352万人となり、4年ぶりに増加。ただし、修学旅行生の数(※)は70万4000人(前年95万3000人)と減少した。一方、繁忙期と閑散期の観光客数の差(繁閑差)は、観光客が最多の11月(494万人)と最少の2月(378万人)の差が1.3倍で、最も繁閑差の大きかった2003年(11月:666万人、2月186万人)と比べると大幅に縮小。京都市が注力していた平準化の取り組みの結果が表れたようだ。
観光客の満足度も、「大変満足~やや満足」は9割を超え、特に日本人が91.3%(前年90.3%)と改善した。日本人、外国人とも「宿泊」と「夜観光(ナイトライフ)」の満足度が向上し、特に外国人の夜観光については74.5%で前年より約4ポイント上昇した。
また、キャッシュレス環境の充実により、外国人の「キャッシュレス決済利用率」は64.3%で、前年から約15ポイント増と飛躍。交通系ICカードの利用も、日本人、外国人の半数超に拡大した。さらに日本人、外国人ともにバスから鉄道へと交通利用のシフトが進み、バスの混雑緩和にも貢献している。
ただし、「残念なこと」では、日本人の「人が多い、混雑」(20.2%)や「マナー」(13.8%)がわずかに上昇。外国人では「人が多い、混雑」(11.2%)が数ポイント低下したものの、一定数存在していることも明らかになった。
調査は毎年2月、5月、8月、11月の年4回実施。日本人は郵送回答での調査で、サンプル数は4400。外国人観光客は面談聴取で実施し、サンプル数は1732。なお、同調査は2019年1月~12月までを対象としており、この期間、京都市では新型コロナウイルスによる影響を受けていないとしている。