海外旅行の回復が遅れるなか、ハワイへの旅行需要は他のデスティネーションに先んじて戻っている。今年(2023年)のゴールデンウィークの航空会社の輸送実績を見ても、ANAは前年比5.4倍となり、コロナ前の2018年比で9割超に回復。JALもピーク日には満席便が出るなど好調だった。2023年夏休みシーズンには、さらに日本人旅行者が増えると期待されている。夏を前に、ホノルルで人気のスポットや新しい施設を体験してみた。
ロコに人気の商業エリア「ソルト・アット・カカアコ」
まず訪れてみたのは、アラモアナとダウンタウンの中間に位置する「ソルト・アット・カカアコ」。カカアコは壁画アートが有名な地区だ。そのファッション性を取れ入れた複合商業施設には、個性的なレストランやショップが集まり、地元でも人気のスポットとなっている。ソルト(SALT)という名称は、カカアコ周辺には以前塩田が点在していたことから名付けられたという。
オープンエアの空間には、ワイキキの商業施設とは異なるスローな雰囲気が流れている。観光客の姿は少なく、ロコたちが思い思いの時間を過ごしている。ランチの場所を迷っていると、オススメのレストランを教えてくれたのも、そのロコの一人だ。
勧められて向かったのはポケ専門店「レッドフィッシュ」。定番のアヒやハマチ、タコ、鮭、エビなど魚介類のほか、豆腐、ビーツなど、多彩なポケがポカウンターに並ぶ。組み合わせは多種多様。迷った挙句、シグニチャー・ボウルの「KANAK ATTACK」を頼んだ。カルアピック、サーモン、ピピカウラ(牛肉を干したもの)に定番のアヒを加えた。ボリュームたっぷりだが、トッピングのポケの味は一つ一つ繊細だ。
このほか、インテリアが印象的なカフェ「Morning Brew」、スタイリッシュなカフェ「ARVO」、世界中のクラフトビールを集めた「Village Bottle Shop & Tasting Room」、ハワイアンフードの有名店「Highway Inn」などの飲食店のほか、こだわりのセレクトショップなどが並ぶ。
ソルトへの移動は、アラモアナからバイクシェア「Biki」を使った。約15分ほどのライドで、暮らすように旅をする感覚が楽しい。利用方法は簡単。Bikiステーションのキオスクにあるタッチパネルで、30分4.5ドル、300分30ドルなどのプランを選び、クレジットカードをスワイプすれば手続きが終了する。バイクドッグに設置してあるパネルに提示された暗証番号を入力すれば、バイクを取り出すことができる。タッチスクリーンは日本語にも対応している。
新規開業のダイニングスポット「STIXアジア・ワイキキ」
ワイキキでは、2023年2月に新たな観光スポットとして、アジアの食文化を発信する「STIXアジア・ワイキキ」がオープンした。場所はワイキキ・ショッピング・プラザのワイキキ横丁の跡地。日本や台湾、中国、韓国、シンガポールなどの料理が楽しめる17の店舗を集めた。
施設内は木造と提灯を基調としつつアジアの文化を体感できる雰囲気を演出。「ヌードルストリート」と「アジアストリート」に分かれ、「ヌードルストリート」には日本のラーメンと台湾ラーメンが並ぶ。「ミシュランガイド北海道」で紹介された旭川ラーメンの「梅光軒」も出店している。「アジアストリート」には、韓国のストリートフードやシンガポール、マレーシアなどの東南アジアの屋台料理、日本の天ぷらやうどんの店舗が軒を連ねている。
ワイキキのメインストリートのカラカウア通りに面しており、日本人の利用が多いホテルからのアクセスもいいことから、気軽にアジアの食が楽しめる場所として、人気を集めそうだ。
新しいウォーターアクティビティ施設もオープン
2023年3月、ホノルル国際空港とアウラニとの中間地点となるワイカイ地区に、新たなウォーターアクティビティ施設「ザ・ラインアップ・アット・ワイカイ」がオープンした。最大の特徴は、レベルに合わせて、大小様々なサイズの波が作り出せるハワイ初の人工サーフィン施設「ワイカイ・ウェーブ」。幅30メートルほどのプールに、60センチから1.8メートルほどまでの高さの波を人工的に作り出す。初心者から体験できるが、波乗りを見ているだけでもハワイらしさが感じられる。
このほか、東京ドームおそよ5個分の広大なラグーンでは、カヤック、スタンドアップパドル、水上バイク、パドルボート、アウトリガーカヌーな多彩なアクティビティを体験することが可能。ラグーン内は波もないため、ファミリーでも安心して楽しめる。
ダイニングは、ワイカイ・ウェーブを見下ろす2階に「ザ・アウトルック」。その下のボードウォークには軽食バー「foam」がある。また、ラグーンを見渡す場所には本格的なレストラン「プラザ・グリル」。季節の料理のほか、ビール、ワイン、日本酒、カクテルなども多彩に揃えている。
ザ・ラインアップ・アット・ワイカイ周辺はまだ開発途上。今後、ショッピングモール、ホテルなどの整備が進み、ホノルルの新たなリゾート地として開発される予定だという。