宿泊施設のキャンセル料はどうあるべきか? 新たな価値への転換と、あるべき世界観を請求・回収自動化「Payn(ペイン)」創業者に聞いてきた(PR)

キャンセル料は、商品やサービスを提供する事業者にとって、確保していた座席や食材、得られるはずだった売上げの損失を補う収入源だ。航空会社や鉄道会社など、予約後の購入期限が短く、支払いが済んでいるケースの多い交通機関では当然のものと認識されているが、現地払いが多い日本の宿泊施設がキャンセル料を収受するのはハードルが高かった。しかし、最近では、請求・回収に取り組もうとする宿泊施設が増えてきている。

その動きを後押ししているのが、キャンセル料の請求・回収業務を自動化するツール「Payn(ペイン)」。宿泊の権利を個人間で売買するマーケットプレイスとして話題となった「キャンセル(Cansell)」創業者の山下恭平氏が、キャンセルの事業停止後すぐの2022年秋にBtoBの新事業として立ち上げた。

「『キャンセル』の事業を通じて、宿泊施設側のキャンセル料に対する課題の深刻さを知った。キャンセル料を事業者と消費者の双方に利益のあるものにしたい」と話す山下氏に、キャンセル料をめぐる現状とあるべき姿の認識から、それを支援するペインのサービス概要、今後の展開まで聞いた。

宿泊施設が抱えるキャンセル料の課題

旧キャンセルの創業時、宿泊業界との関係を深めるなかで山下氏が驚いたのが、キャンセル料の理不尽な実態だ。

「予約客に電話をしても応答がないし、請求書を送っても支払いに応じない。逆にクレームをつけられることすらある。解決しなければならない課題だと感じた」。その一方で、「解決には宿泊業界全体が対応を改め、消費者のマインドを変えていく必要があるとも感じた。そのためには、キャンセル料の請求と回収をする宿泊施設を増やし、業界の姿勢として定着させる取り組みが欠かせない」と考える。

キャンセル料の請求・回収が進まない一番の理由は、アナログ対応の効率の悪さだ。自社サイトやオンライン旅行会社(OTA)経由など、事前決済の予約であれば、自動でキャンセル料が引き落とされることが多い。

しかし、現地決済の場合は「宿泊施設は予約客に電話をかけてキャンセル料の発生や金額、支払い方法などを説明し、請求書を作成して送付する。その後も支払いの有無を確認し、なければ督促をする。日常業務に追われているなかで、手が回らないのが現場の実態」(山下氏)。しかも請求・回収が円滑に進むとは限らず、担当者の心理的な負担も大きい。

もう一つ、山下氏が指摘するのは、キャンセルをした予約客に対する誤った“おもてなし”の実態もあること。「今回はキャンセル料を免除します。また来てくださいね」という対応を続けてきた結果、多くの消費者に「支払わなくても何とかなる」という誤った認識を植え付けてしまった。

山下氏は「完全な悪循環に陥っている。誤った慣習を断ち切らなければ、状況は変わらない」と危惧する。

Payn(ペイン)代表取締役CEOの山下恭平氏

宿泊施設がキャンセル料を確実に回収できるようになれば、得られるはずだった売上げの補填が可能となり、収入が増えるのは明白だ。「単純な例えだが、毎月10万円のキャンセル料を徴収できれば、10名の従業員の人件費を各1万円上げられる。あるいはリノベーションやアメニティの費用に充当するなど、経営状態を良好にし、サービス向上に役立てられる。結果的に消費者にも宿泊体験の向上という形で還元できる。こうしたプラスのサイクルが回るようになる」(山下氏)。

その好循環の実現を目指して開発したのが、キャンセル料の請求・回収作業を自動化するツール「ペイン」だ。山下氏は「簡単な話ではないと思うが、キャンセル料を回収して事業者と消費者の双方が利益を享受できる世界に変えていくのが、我々、Paynの役割」と話す。

わずか1分で請求作業が完了、特許取得も

ペインの大きな特徴は2つ。ひとつ目は、宿泊施設のキャンセル料回収業務と予約客のキャンセル料支払いに伴う双方の負担の軽減を念頭に、設計されていることだ。

従来のアナログな請求プロセスとPaynを利用したときの比較

宿泊施設の場合、ペインの管理画面でキャンセル料が発生した予約に関する請求情報を入力して実行すれば、即座に予約客への請求メッセージがメールやSMSで送信される。作業の所要時間は、わずか1分程度だ。その後、一定期間に支払いがなければ自動でリマインドの通知をする。

これに対して、請求メッセージを受け取った予約客側は、記載されているURLをクリックして、クレジットカードや銀行振り込みで支払いを済ませることができる。オンラインで簡単に支払いを完了できるため、紙の請求書にくらべ回収率の向上が期待できる。

また、2023年3月には、キャンセル料の請求作業をさらに省力化できる「Payn Connect(ペインコネクト)」の提供を開始した。宿泊施設が日々利用しているPMS(ホテル基幹システム)やサイトコントローラー、予約サイトなどからAPIやCSVファイル等を通じて予約情報を取り込み、請求情報の入力などを自動化して、キャンセル料をシームレスに請求できるようにする機能だ。このペインコネクトは、2023年10月に特許も取得した。

「様々な媒体から予約データを取得し、シームレスにキャンセル料を請求することが可能になる技術」の特許を取得

ペインは、最短で登録当日から使用できる。クラウドサービスなので、手持ちのPCやタブレットからいつでもどこでも利用可能だ。料金は初期費用・月額費用とも0円。回収があった場合だけ手数料が発生するので、お試し感覚でスタートできる。

キャンセルを機に、新しいコミュニケーションを創出

もう1つ、山下氏が開発で重視したのは、ペインを単なるキャンセル料の取り立て手段にはしないこと。「宿泊施設と消費者の新たな接点として、より良いコミュニケーションの出発点として機能することを目指した」と話す。

「キャンセルに至った予約者側には、キャンセルしたことを心苦しく感じる人、また機会があれば宿泊したいという人もいるはずだ。これまで敬遠していたキャンセル料の請求が、宿泊施設と消費者の新たな関係構築の出発点になれば、その方が双方にとって良いのではないか」(山下氏)。

そこでペインでは、クーポン発行機能を用意。宿泊施設がキャンセル料を支払った人に次の宿泊料金に充当できるクーポンを発行することで、キャンセル料請求が先々の需要喚起の機会となることを期待したものだ。

「ペインは単なる業務効率化、収益向上のツールで終わらせない。スタートアップとしてやる以上は、新しい価値を作りたい。キャンセル料を支払うのが当たり前で、それが宿泊をより素晴らしい体験にできるという世界観を確立したい」。これが山下氏のペイン事業にかける思いだ。

今後はクーポンの種類を増やし、ドリンク類のサービスやレイトチェックアウトなど金銭以外の特典付与の機能も開発していく予定。その他にも、大手カフェチェーン店など、日常生活で利用できるEギフトの活用も検討中だ。

ホテルチェーンを中心に増える導入実績

「宿泊業界での導入も着実に進んでいる」と山下氏はいう。特に、リーガロイヤルホテルグループ、相鉄ホテルマネジメント、ミナシア、コアグローバルマネジメント、ABアコモといったチェーンや多店舗展開をしている宿泊事業者を中心に導入が増えている。導入事業者から評判を聞きつけて検討を始めるケースが多く「回収の実績に加えて、使い勝手の良さが評価の高いポイント」と、山下氏は話す。

サービスの使い勝手の良さは、Paynが特にこだわった部分。山下氏がインターネット業界で10年以上積み上げてきた経験と、旧キャンセルを通じて得た宿泊ビジネスに関する知識を総動員した成果が、反映されている。「ITツールの経験を問わず使いこなせるような使い勝手の良さと、作業の手間を1秒でも1クリックでも短縮することを追求した」(山下氏)。新たな世界観で革新を起こすスタートアップであり、常に最新の技術とトレンドを意識していることが、操作性一つにも表れるとアピールする。

全国展開する施設では、店舗のキャンセル請求を本部に集約し、従業員が1人で対応しているケースもあるという。

宿泊施設や飲食店をはじめ、レンタカーや観光施設、アクティビティ事業者などからの問い合わせも増えてきた。インバウンド対応にも取り組んでおり、現在は日本語以外に英語、韓国語、中国語(簡体/繁体)に対応。今後は対象言語を数十言語に拡大する予定だ。

山下氏は「キャンセルに関する様々な問題に対し、Paynほど真剣に真っ向から取り組んでいる企業は世界中を見渡しても他にはない。将来的なグローバル展開を見据えながら事業を進めていきたい」としている。

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記事:トラベルボイス企画部

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