経済産業省と内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部事務局」は2015年4月21日、全国地方自治体の産業や人口、観光客の流動状況に関するビッグデータを集約して分析、一般利用者がマップとして可視化できるシステム「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」をウェブ上で公開した。
「RESAS」とは「Regional Economy(and)Society Analyzing System」の頭文字をとった略語。地方公共団体が策定する「地方版総合戦略」を、政府が情報面からサポートすることを目的に開発されたシステムで、企業間取引にかかわるデータ以外は一般にも公開したものだ。
システムは「観光マップ」「人口マップ」「自治体比較マップ」「産業マップ(企業間取引にかかわるデータは一般非公開)」のメニューから構成。政府の統計データや人口推定データ、国勢調査結果のほか、移動人口状況を示す数字などは、携帯電話の位置情報も含めたビッグデータとして集約・分析される。
たとえば「観光マップ」で提供されている主要データは「流動人口(メッシュ分析)」「滞在人口(From-to分析)」「滞在人口率」の3つ。「メッシュ分析」では人の流動を年月や時間帯別に確認、「From-to分析」機能では出発点と到着地を指定して滞在状況を確認でき、「滞在人口率」では該当する地域の人口に対する滞在人口の比率を把握できる。
いずれも平日・休日別に詳細データを特定することも可能なほか、たとえば「〇〇市で、平日に滞在した人数のうち、県内外者の比率」や「県外から訪問で流入量が多い自治体ランキング上位10件」といったグラフも出力可能となる。以下は流動人口(メッシュ分析)の例。
「人口マップ」は単独の都道府県や市区町村のほか、隣接した複数自治体と組み合わせた表示も可能。さらに、2040年人口構成予測を確認することもできる。以下は、2010年と2040年の秋田県の人口を比較したグラフの例。
「自治体比較マップ」では、全国約1800の自治体に関するランキングや他の自治体との比較結果を可視化できる。経済構造、企業活動、労働環境、地方財政に関する比較項目が用意されており、たとえば「企業数」「事業所数」「創業比率」「有効求人倍率」「一人当たり地方税」といった内容を複数自治体や全国平均と比較可能だ。
「産業マップ」は、特定自治体の産業構造の全体像を表示するもので、たとえば特定産業の付加価値額の大きさや、異なる県同士における企業間取引状況を把握できる。
同省では、システムを利用することにより、それぞれの自治体における強みや弱みといった特性をデータとして把握することで、目標やKPI(重要業績評価指標)設定や日々のPDCAサイクルに活かされることを期待したいとしている。
なお、このサービスはグーグル(Google )のChromeブラウザでの描画のみに対応。サービス内に用語解説や「操作マニュアル」が用意されているほか、システムの操作等に関する相談窓口として、各地方経済産業局、地方運輸局にて専門的な職員が配置される。
▼地域経済分析システム説明動画(観光マップ)=※画像をクリックすると「この動画はYouTubeでご覧ください」という文字リンクが表示されます。その文字をクリックするとYouTube上にある当該動画が再生されます。