伊ベネチア市、今年も観光客への入域料徴収、日帰り客を対象に、適用日数は54日に拡大

イタリア・ベネチアは、オーバーツーリズム対策として、2025年4月25日(現地時間)から日帰り旅行者に対して歴史地区への入域税の徴収を始める。昨年の税導入後、ユネスコは、ベネチアを世界危機遺産リストに加えないことを決定。しかし、課税に反対する人たちは、課税措置は観光客抑制には効果がなかったと主張している。

今年も日帰り旅行者は、歴史地区に入るためには、少なくとも3日前までに5ユーロ(約800円)を支払い、QRコードをダウンロードする必要がある。それ以降の場合、料金は2倍。QRコードは午前8時30分から午後4時まで必要で、サンタ・ルチア駅、ローマ広場のバスターミナル、トロンケット駐車場など市内への入口で確認される。

今年は、7月27日まで適用。金曜日を含めた週末と祝日、主要な祝日がある週は一週間に渡って課税される時期もあることから、適用日数は昨年の29日から54日に増える。

昨年の実証で徴収された税収は、約240万ユーロ(約3.8億円)。ベネチア氏担当者によると、システム運用費は約270万ユーロ(約4.3億円)だったという。今年は、100~150万ユーロ(1.6~2.4億円)の黒字を見込んでおり、黒字分はゴミ収集など公共サービスの費用に充てられる予定だ。

ベネチア市当局によると、昨年の実証開始後、最初の11日間の平均納税者数は1日約7万5000人。主要な祝日3日それぞれの観光客数よりも約1万人多かった。

劇的な人口減少

公式発表によると、100以上の島々から構成されるベネチアの中心部には4万8283人が居住している。ピークだった1951年には約17万4000人が暮らしていた。ここ数十年、地元産業の衰退、家族連れの本土への移住、住宅価格の上昇などによって、人口は劇的に減少している。同時に、日用品や医療サービスなどの基本的なサービスが街から消えてしまったと嘆く人もいる。

ベネチア市当局がスマートフォンの位置情報から取得したデータによると、2020年以降の年間の観光客数は日帰りと宿泊を合わせて2500~3000万人だという。

※ユーロ円換算は1ユーロ160円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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