いよいよ2015年9月24日~10月1日、「ジャパン・トラベル・ウィーク」が開催される。これにあわせ、観光庁や各イベントを主催する日本旅行業協会(JATA)、日本観光振興協会、日本政府観光局(JNTO)のトップらが集まり、記者会見を開催した。※写真:右から、JATA会長・田川博己氏、日本観光振興協会会長・山口範雄氏、観光庁長官・久保成人氏、JNTO理事長・松山良一氏、青森県知事・三村申吾氏、JR東日本代表取締役副社長・深澤祐二氏)
ジャパン・トラベル・ウィークとは、海外旅行の「JATA旅博」と国内観光の「旅フェア日本」を統合した「ツーリズムEXPOジャパン」と、インバウンド向け商談会にMICEのトラベルマートをあわせた「VISIT JAPANトラベル&MICEマート」を同時開催する期間のこと。以前は別々に開催していた両イベントを同時に行なうことで開催効果を高めるとともに、観光立国・日本の象徴として世界に強くアピールすることを目的に昨年から展開されている。
国内旅行、海外旅行、インバウンドの同時開催は海外にも例がない。また、業界日だけでなく、一般日も設けたイベントでもあるのが、ジャパン・トラベル・ウィークの特徴だ。そのため、国際観光イベントとしては世界最大規模になるという。
これについて観光庁長官の久保茂人氏は、国内、海外、インバウンドの各リーダーやキーパーソンが一堂に会することで3方向の交流を生み、世界的にも貴重な機会となることを強調。「MICEや訪日旅行の商談会に参加した海外のバイヤーが、ツーリズムEXPOの国内出展者と交流することで地方への誘客も期待できる」など、新たなビジネス機会の可能性も示し、三位一体で行なう意義をアピールした。また、「国民の旅行気運を醸成し、風評被害が懸念される箱根方面や、円安基調で需要後退が見られる海外旅行の喚起にも繋がれば」と期待も語った。
会見では「ツーリズムEXPOジャパン」を主催する日本観光振興協会会長の山口範雄氏、JATA会長の田川博己氏、及び「VISIT JAPANトラベル&MICEマート」を主催するJNTO理事長の松山良一氏が、各イベントの新施策を含め、概要の最新情報を発表。ポイントは以下の通り。
【ツーリズムEXPOジャパン】
1.事業規模の拡大、異業種の参加も増加
- 参加国地域は146、出展者数は1145、小間数は1556。来場者数目標は17万人。
- 昨年は151か国地域、出展者数1129、来場者数15.7万人。
- 国内は全47都道府県が出展。音響機器や自動部品、皮革工芸など異業種の初出展も。「観光産業の裾野の広さが具現化された」(山口氏)
2.新施策:協賛者に新カテゴリー「プレミアム・デスティネーション・パートナー/プレミアム・デスティネーション・サポーター」
- 海外や国内各地域のプロモーション施策と連動し、ツーリズムEXPOの集客牽引力を活用してパートナーのプロモーション効果の最大化を図る。
- 今年は2016年3月予定の北海道新幹線開業を踏まえ、プレミアム・デスティネーション・パートナーは青森県、プレミアム・デスティネーション・サポーターはJR東日本。
- 「青森空港やクルーズ寄港のみならず、新幹線開通で函館経由の訪日客も期待できる。青森県が東北エリアのゲートウェイになる」(青森知事・三村申吾氏)
3.新顕彰事業:ジャパン・ツーリズム・アワード各部門発表
- 観光産業の発展・拡大に寄与する団体、個人を表彰。先ごろ各部門賞が決定。この中から大賞を選出する。
- 観光の素晴らしさを周知し、国民に対して観光の力の理解浸透を促すのが目的。
- 関連記事>>第1回ジャパン・ツーリズム・アワード受賞団体が決定、地域マネジメント優秀賞は「瀬戸内国際芸術祭」(2015年 9月 1日)
4.子供連れ来場者のサポート
- 会場内に、子どもと一緒に休憩できるスペース、ベビーカー置き場、託児所を用意。
- 昨年、家族での来場が多かったことを踏まえた。
【VISIT JAPANトラベル&MICEマート】
1.事業規模
- 商談会:海外バイヤーは重点市場など20か国地域の360者を招聘。国内セラーは373者。6日間で8000件の商談が開催
- うち、MICEマートは海外バイヤー25者、国内セラー30者を招聘
- ファムトリップ:9月28日~10月1日。代表的コースから地方のコースも。見るだけではなく魅力を体験できる内容に。
2.商談会、ファムトリップ中のフリーWi⁻Fiを整備
- 商談会からファムトリップ終了まで、フリーWi⁻FIを整備。海外バイヤーによるSNSを介した情報発信効果を期待
【合同交流会 ジャパンナイト】
- 国内外のキーパーソンの交流の場として1700人を招待(招待制イベント)
- 丸の内行幸通り・仲通りを会場に東京の都市空間を利用した都市型MICEをアピール。
- プレミアム・デスティネーション・パートナーの青森県のねぶたをはじめ、日本の伝統文化を紹介し、地方創生のショーケースとして東京から発信。
今後の展開は?
会見では会場から、ジャパン・トラベル・ウィークの将来像について質問が飛んだ。これに対し、JNTOの松山氏は短期的な目標として「まずは三位一体をしっかりと1つのものにすること」と言及。日本観光振興協会の山口氏は中長期的に「国内と海外を一体化し、総需要を拡大する。各産業ともグローバル化が言われているが、ツーリズムでもしっかり実践することが必要」との考えを示した。
JATAの田川氏も、最近のインバウンドの盛り上がりに触れつつ、「この50年、海外旅行は日本人の大衆のグローバル化を進めてきた」と主張。その上で「本気でインバウンドを推進するなら日本人がグローバル化することが必要。これをこのイベントでも説いていくことが大切で、その役割を果たしていきたい」と語った。
なお、田川氏にツーリズムEXPOジャパンの来場者数について聞いたところ、業界関係者の数は「1万人~2万人規模になってほしい」との考えだ。「今は企画造成担当が中心で、店舗の販売担当が少ない。販売に関わる情報が揃っているので来てほしい」と呼びかけた。ちなみにJTBでは昨年から店舗の販売担当が来場しやすいよう、勤務ローテーションを早期から調整するなど、工夫をしているという。
参考記事>>