IT活用による経済発展を目指す経済団体・新経済連盟(代表理事:三木谷浩史氏)は、民泊(ホームシェア)事業の経済効果をインバウンド消費も含めて「合計10兆円台」と試算した。政府の規制改革会議に提出した同連盟の資料によるもので、「シェアリングエコノミー活性化に必要な法的措置に係わる具体的提案」として試算結果を発表したもの。
経済効果「10兆円台」の内訳は、ゲストによる消費などが約3.8兆円、ホストによる投資などが約1兆円、インバウンド消費が約7.5兆円。同時にこれらが「戦後最大の経済、GDP600兆円」への貢献につながるとしている。
また、試算の前提となる想定民泊物件数は約200万戸、その6割にあたる120万戸が空き家、残り4割が自宅等と仮定。加えて、200万戸のうち100万戸を外国人が利用(20%が稼働、1人6泊、1室2名で利用)として、外国人受け入れ可能人数を約2500万人と推定している。
ゲストの消費行動(約3.8兆円)の内容は、地域での飲食や商店での買い物、近隣のホテル・旅館の温泉などの施設利用を想定。さらに、「外国人旅行者に日本食の良さを知っていただくことにより、2020年までに農林水産物・食品の輸出額目標1兆円」にも貢献できるとした。
ホストによる投資(約1兆円)の内容は、物件のリノベーションや補修、家具の購入・レンタルなどを中心に、電気・ガス・水道や通信環境の整備を想定。さらに、掃除や鍵の受け渡し代行サービスといった周辺産業の誕生も見込む。
インバウンド消費(約7.5兆円)は、同連盟の提言「観光立国2020」に基づき、外国人一人当たりの消費額"30万円"をベースに算出したとする。
同連盟では、 民泊事業を含むシェアリングエコノミーについて、「ITを活用することにより、多くの優れた特徴を有する」と説明。経済効果だけでなく、空き家問題、地方創生、一億総活躍、観光立国といった分野での課題解消にもつながるとしている。
ただしその実現には、テクノロジーの活用が必要であることに言及。また、本人確認、衛生、租税、周辺地域の平穏など、現在指摘されているさまざまな課題解決に向けたルール化が必要であるとしている。