外務省は、2016年5月21にイスラム過激派組織ISILがラマダン期間中のテロを広く呼びかける声明をインターネット上に公開したのを受け、広域情報で注意喚起を発出した。
2016年のラマダン(日の出から日没までの断食)は6月6日頃から7月5日頃まで。ラマダン終了後にはイードと呼ばれるラマダン明けの祭りが行なわれる。この期間には、フランスでのサッカー欧州選手権(6月10日~)、自転車のツール・ド・フランス(7月4日~)の開催が予定されている。ISILの声明では特に欧米諸国でのテロ実行を呼びかけており、民間人を対象とした一匹狼(ローンウルフ)型のテロの発生も懸念されるという。
ISILは2015年もラマダン月(2015年は6月18日~7月17日頃)における同様の声明を発出。昨年、ラマダン期間中には、6月26日にチュニジアのリゾートホテルとビーチで、外国人観光客38人が武装集団に襲撃されたほか、以下の事件が発生。このうち、複数の国で大規模なテロが発生した6月26日はイスラム教の集団礼拝日である金曜日にあたり、モスクなどの宗教施設やデモを狙ったテロが行なわれることもあるとして、注意を促している。
【2015年のラマダン期間中のテロ事件】
- チュニジア・沿岸部スースでのリゾートホテルとビーチ襲撃事件(6月26日)
- フランス・リヨンでのテロ事件(6月26日)
- クウェート、シーア派モスクでの自爆テロ事件(6月26日)
- エジプト・カイロ郊外での検事総長殺害テロ事件(6月29日)
- マリ・北部での国連車列襲撃テロ事件(7月2日)
- ナイジェリア・北部及び中部での連続爆弾テロ事件(7月5日~7日)
- エジプト・カイロ市内のイタリア総領事館前での爆弾テロ事件(7月11日)