人事・組織コンサルティングを手掛けるマーサーはこのほど、「2018年度 グローバル年金指数ランキング」を発表した。それによると、ランキングの首位は「オランダ」(総合指数80.3)で、6年連続で首位だったデンマーク(同80.2)が2位にランクダウン。日本は34か国中29位(同48.2)と下位にとどまったが、総合指数は前年(43.5)よりアップして過去最高値となった。
この調査は、34か国の年金制度をランク付けするもの。対象は、公的・私的年金制度の積み立てや個人貯蓄などの年金資産など。40項目以上の検証項目をもとに「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の観点から評価を実施。それぞれについて、Aランク~Eランクのグレードに応じた指数化をおこなって総合指数を算出する。
上位となったオランダとデンマークでは、十分な給付を支給する「A」ランクの退職給付制度を提供し、年金制度への対応が万全といえる結果になった。
一方、日本の総合評価は「D」。十分性が48.0(評価D)から54.1(評価C)に上昇し、持続性も26.0から34.4(評価E)に上がったが、健全性は60.7(評価C+)と位置昨年から同じスコアとなった。
同社のコンサルタントは日本の年金制度について、「少なからず改善がみられる」と分析。ただし、総合評価をさらに向上するには、年金制度への加入率の改善が求められるものの、まだ課題も多いと指摘。日本の制度の改善につなげるためには、家計貯蓄額の増加、年金給付額の引き上げに伴い所得代替率の改善、退職給付の年金形式での受給を促す制約の導入などの検討が必要としている。