観光産業の冬ボーナスは微減、自然災害の影響も、サービス連合が2018年秋闘結果を発表

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2018年秋闘の結果を発表した。2018年12月16日までに合意・妥結した加盟組合53組合の冬期一時金支給月数は1.16か月(単純平均)で、前年よりも0.04か月減の微減となった。春闘で合意済み、または業績連動制度などで水準を確定した加盟組合を含む計111組合の単純平均は1.42か月で、0.02か月の微増だった。

この結果について、会長の後藤常康氏は「自然災害が多く発生し、影響を受けた企業もある。そのなかで昨年より大きく下回らなかったのは、労使協議で各企業が業績を見極め、将来を見据えて判断してもらえた結果」と評価。ただし、「下回ったのは事実」とも述べ、2019春闘の取り組みがますます必要との考えも示した。

2018年秋闘で要求書を提出したのは59組合で、2017年の35組合よりも大幅に増加。多くは冬期一時金を中心に要求を行ない、11組合ではこの時期に賃金改善の要求を行なった。2018年春闘からの継続協議となった16組合も、冬季一時金の支給に向けた交渉のほか、業績連動など一時金支給制度に基づく水準の確定交渉を行なった組合もあった。

労働協約などの改定に関わる要求を行なったのは36組合。そのほか、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、育児短時間制度やこの看護休暇制度等の拡充に4組合が合意した。また、今年4月に施行となる改正労働基準法を前に、年次有給休暇の確実な取得に向けた制度構築等で成果を上げた組合もあった。

なお、サービス連合では2018年に各地で発生した自然災害に関し、同年秋に観光産業の復旧・再生に向けた緊急の政策要請を実施。先ごろには関西国際空港を直撃した台風及びタンカー事故の影響を踏まえ、国土交通省航空局に対してBCP(事業継続計画)における災害時の空港連携に向けた要請を行なった。

ポイントは、(1)災害時において労働者は旅行者の安全対応をする一方で、労働者自身も被災者であること、(2)物流は成田や中部などに振替となったが、同事故が発生する想定がないなかで各空港対応に課題感があったとするもの。サービス連合では、国土交通省が指導的立場となり、緊急時における空港内連携の強化や、被災時における情報収集・発信の一元化、貨物の主要三空港(成田、関空、中部)のライフラインの安全性を検証することを求めた。

業種別の一時金支給結果は以下の通り。

【2018日年秋闘実施組合の冬ボーナス平均支給か月数】

  • 全体(53組合):1.16/1.20(2017年、以下同)/-0.04(前年比)
  • ホテル・レジャー業(24組合):1.18/1.24/-0.06
  • 観光・航空貨物業(29組合):1.15/1.16/-0.01

【2018年全体の冬のボーナス平均支給か月数】

  • 全体(111組合):1.42/1.40/+0.02
  • ホテル・レジャー業(53組合):1.34/1.32/+0.02
  • 観光・航空貨物業(58組合):1.48/1.47/+0.01

【2018年年間ボーナス(夏・冬)平均支給か月】

  • 全体(108組合):2.86/2.99/-0.13
  • ホテル・レジャー業(52組合):2.62/2.58/+0.04
  • 観光・航空貨物業(56組合):3.10/3.31/-0.21

※夏・冬で組合数が異なる

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