日本旅行業協会(JATA)会長の坂巻伸昭氏が、2021年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
坂巻会長は、昨秋に沖縄で開催した「ツーリズムEXPOジャパン」では、総力を挙げた感染症対策によって感染者が一人も出なかったことを紹介。2021年夏の東京五輪を国際交流再開のきっかけとすべく、世界が求める安心・安全を担保した「新しい旅のスタイル」を旅行・観光産業全体で作り上げ、浸透させる必要性を強調した。
また、世界の雇用と経済を支え、人々の相互理解と文化を生む観光の役割を、コロナ禍によって改めて認識したと言及。国際交流の再開へ、一歩踏み出すためのJATAの役割を果たすとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2021年 年頭所感 -旅のチカラで日本と世界を元気に!
2021年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
今から1年前、訪日外国人観光客数、海外旅行者数はいずれも過去最高となり、官民一体で国際交流を推進し、日本のツーリズムのさらなる成長を目指していたところ、新型コロナウイルスの感染拡大によってツーリズムは停止、世界の様相は一変しました。JATAは「企業存続のための支援、自粛の緩和、大規模な需要回復施策の実施」を官邸にお願いし、雇用調整助成金の特例措置と期間延長、GoToトラベル事業の実施等に至りました。また、「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典in沖縄」を開催し、総力を挙げた感染症対策により、一人の感染者も出さなかったことは大きな成果となりました。
ツーリズムは世界の雇用と経済を支え、国を超えた人々の相互理解と文化を生み出します。コロナ禍によって私たちはその役割をあらためて認識しました。その役割を果たすためにも、持続可能なツーリズムの成長を続けて人々の心と生活を豊かにしていかなければなりません。
2021年は旅行業界の大きな転換期です。GoToトラベル事業を一過性の経済対策とするのではなく、旅行業界の発展につなげる、その次のあり方を考えなければなりません。また、国際交流の再開のためには、インバウンドとアウトバウンドの両輪の戦略が必要であり、一歩踏み出すためのJATAの役割を全うしなければなりません。
今年の夏には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会があり、200を超える国や地域の人々が日本を訪れます。単なる大型スポーツイベントのような位置付けではなく、旅行業界全体で国際交流再開のきっかけとなるように取り組んでいかなければなりません。また、世界が求める、安心・安全を担保した「新しい旅のスタイル」を一つの事業者だけでなく、旅行者も一体となり、旅行・観光産業全体で創り上げ、浸透させていかなければなりません。そして、培ってきた企画力と提案力に磨きをかけて付加価値の高い旅を創造し、旅のチカラで日本と世界を元気にしていこうではありませんか。共に歩む「協調」と共に創る「共創」を、観光に携わる全ての人と手を取り合って取り組んでまいりたいと思います。
本年も皆様の一層のご指導、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
一般社団法人日本旅行業協会(JATA)
会長 坂巻伸昭