米国では、オミクロン株の感染拡大に伴う乗務員の不足に加えて、大西洋中部を襲った大寒波によって、航空輸送の混乱に拍車がかかっている。クリスマスから新年にかけてのホリデーシーズンを直撃。多くのフライトが運休し、帰省する旅行者が足止めを食らった。AP通信が年末年始の状況を伝えている。
航空追跡サービスを提供するFlightAwareによると、東海岸では2022年1月3日の午後、3000便以上の国内線と約4800便の国際線が運休した。また、6000便以上の国内線を含めて約1万3000便が遅延した。1月3日、15センチ以上の雪が積もったロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港では4分の3、近くのボルチモア/ワシントン空港ではほぼ半分の便が運休。サウスウエスト航空は運航予定だった便の17%を運休せざるを得なかった。翌日の4日も約400便の国内線が運休に追い込まれた。
多くの旅行者が、間際での運休、バッグの紛失、カスタマーサービスの不手際など航空会社の対応への不満をツイート。フライトが突然キャンセルされたため、空港で寝ざるを得ない旅行者も多く出た。
寒波に襲われる以前から運休は多く発生していた。オミクロン株の感染拡大による乗務員不足のためだ。寒波が襲来する以前、クリスマスイブから年始にかけて、米国では約1万8000便が運休した。そのうち1日前あるいは数時間前に運休が発表されたものも多かった。
ユナイテッド航空は、客室乗務員の感染者が増加したことで、運休が多く発生したと説明。デルタ航空もオミクロン株と大寒波が原因とし、アメリカン航空は、従業員の感染者数の発表を控えたが、状況は変わらないと説明した。
航空会社の中には、休まざるを得ないパイロットや客室乗務員の代わりに、ボーナスを払って欠員補充するところも多い。ユナイテッド航空は1月の間、パイロットに対して通常の3倍の給料を払うことを決めた。スピリット航空は、1月4日まで客室乗務員の給料を2倍にすることで組合側と合意した。