2022年版「観光白書」公開、デジタル活用での観光サービスの変革と地域活性化を明記

政府は2022年6月10日、令和4年(2022年)版「観光白書」を閣議決定した。今回の白書では、第II部で「新型コロナウイルス感染症に向き合う観光業とこれからの課題」を分析。観光関連産業の経営や雇用への影響、国内旅行市場での変化、ワーケーションや第2のふるさとづくりなど新たな交流人口の開拓、持続可能な観光の重要性、観光地の高付加価値化やデジタル実装など報告している。

このうち、「デジタル田園都市国家構想の実現に向けた観光におけるデジタル実装」では、観光庁は政府全体の取組みに歩調を合わせて、観光分野におけるデジタル化を早急に進め、デジタル技術を活用した観光サービスの変革と地域活性化を目指すと明記した。

白書では、観光産業におけるデジタル化の状況を分析。IT・デジタルツール導入のデジタル化段階にとどまらず、組織やビジネスモデルの変革など、DXに向けて新たなビジネスの仕組みや価値の創造へと取組を加速化していくことが重要としている。

また、観光関連事業では、他業種と比較してDXが遅れていると指摘。その課題として、主に「人材不足」「費用対効果が不明」「資金不足」「既存システムとの関係性」「ICTなど技術的な知識不足」を挙げている。

データ活用で観光地経営の高度化や生産性の向上を

そのうえで、具体的な課題と取組みの方向性を提示。「旅行者への効果的な情報提供等による利便性向上と周遊促進」では、旅行前では、SNSの積極的活用やデジタルマーケティングにより効果的な情報発信、面的なキャッシュレス化を進めること、旅行中では、リアルタイム性の高い情報発信や観光アプリを活用した混雑回避などの取組み、旅行後では、デジタルマーケティングの活用や顧客関係管理(CRM)の導入などの取組みを推奨している。

観光地経営の高度化では、CRM導入による再来訪促進、データマネジメントプラットフォーム(DMP)の構築によるマーケティングの強化などによって、リピート率や客単価の向上を通じた消費拡大が必要とし、観光庁もその支援を強化していくとしている。

観光産業の生産性向上では、顧客予約管理システム(PMS)の活用で経営効率化を高めることで、生産性・収益性の向上や従業員の待遇改善などが期待でき、それによってさらに再投資の促進やより高いサービスの提供の実現につなげることが可能としているほか、直販比率を向上させてCRMを導入することで、リピート率向上を見据えた顧客管理が期待できると指摘している。

まとめとして、観光分野におけるさらなるDX化による変革を進めることで、地域内の生産額の向上や、雇用の質の向上等を実現し、「住まう価値」や「暮らしの価値」の変革につなげていくことが理想的とした。

報道資料より

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