エアビーアンドビー(Airbnb Japan)は、北海道清水町と包括連携協定を結んだ。両者は、清水町が抱える地域課題に取り組み、観光促進による関係人口の創出などを通じて、清水町の地域活性化を目指す。エアビーが地方自治体や観光協会と協定を結ぶのは、これが10例目。北海道内では初となる。
清水町は、北海道らしい観光資源を持ちながら、情報発信力や遊休不動産の活用に課題を抱えている。また、町内には宿泊施設が少なく、清水町によると、現在のところビジネスホテル・旅館が4軒、ペンション・合宿所などが5軒。宿泊者は年間1300人程度と通過型の観光に留まっている。さらに、人口も減少の一途を辿っており、閉店した商店や空き家が社会問題化しているという。
清水町の阿部一男町長は発表会見で、「ポストコロナ向けて、都市から地方への関心が高まる傾向にある。今回の提携によって、滞在時間の長期化、関係人口の創出、移住定住などを進めていき、地域経済活性化の好循環を作り出していく」と発言。課題解決に向けて、エアビーのパートナー企業約130社との連携にも意欲を示した。
また、Airbnb Japanの田邉泰之代表は、「清水町の魅力を発信し、『暮らすように旅をする』旅行者を送客するとともに、地元の空き家を利活用することで多様な宿泊の選択肢を提供していく。長期滞在を実現することで、新たな旅の導線をつくり、観光の恩恵を地域全体に広げていきたい」と話した。
協定期間は2026年3月31日までの3年間。1年目は「つなぐ」をテーマに、エアビーのプラットフォームを活用し、ユニークな宿泊体験や体験コンテンツなどの発信を強めていく。2年目は「つむぐ」として、宿泊体験やワーケーションを通じた関係人口の創出に取り組み、第2のふるさとづくりを推進していく。3年目は「つくる」を掲げ、空き家活用などで「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)」のような「まちまるごとホテル」の実現を目指すともに、移住者の増加を目指し、地域経済活性化の仕組みを構築していく。
今回の連携の特徴のひとつが、町長自ら自宅を民泊施設としてエアビーのリスティングに登録すること。また、町役場の職員も副業として自宅を民泊施設として活用する。まずは、町内に5ヶ所ある移住体験住宅をエアビーに登録し、初年度は既存の宿泊施設も含めて、10件から20件の登録を見込む。