世界大手コンサルティングEY社はこのほど、「2022年サステナブル・バリュー・スタディ」を発表した。これは、全世界で売上高10億米ドル以上の企業、500人以上の最高サステナビリティ責任者(CSO)およびそれに準ずる人を対象に、サステナブルな取り組みによる効果を聞いたもの。
調査結果によると、気候変動対策を積極的に進めている企業の10社中7社が予想を上回る財務的利益を得ていると回答。気候変動対策が収益の伸びや利益で予想外の財務的価値を生み出していることが浮き彫りになった。また、最も意欲的に気候変動対策に取り組んでいる企業では、財務的な利益もともに最も大きく、予想を大幅に上回る財務的リターンを得る可能性が2.4倍も高いという結果も出た。効果は主に社員の定着、採用、ブランド認知、顧客の購買行動などの分野で出ている。
一方で、短期的に業績に悪影響を与え、市場での競争力を低下させるのではないかとの懸念を持っていると考えている企業も36%となった。
調査対象となった企業の大多数(93%)が気候変動に関するパリ協定に準じた公約を掲げており、2030年までにCO2排出量の45%削減の公約を掲げているのは全体の3分の1(35%)。半数以(42%)は45%以上の削減を計画している。ただし、回答企業のうち、ネットゼロを公約にしているのはわずか11%だった。
このほか、気候変動対策を進めるうえでの主な障害として、「取締役会または経営陣の気候変動に関する専門知識の欠如」「関連する人材の確保やスキルアップの難しさ」「排出量を削減するためのデータや技術の不足」「気候変動対策に必要な資金の確保が困難であること」が挙げられた。
一方で、回答した企業の過半数(61%)が、来年は今年よりも気候変動対策に費用を投じる予定と回答。4分の1は「大幅に増やす」予定であることも分かった。