東京商工会議所は、議員総会でトラベル&ツーリズム委員会がとりまとめた要望書を決議した。訪日外国人が急速に回復する中、2025年の「大阪・関西万博」までの2年間を観光の基幹産業化に向けた重要な局面と位置付け、官民が一致団結して取り組むべき3つの施策を国に要望している。
まず、「観光都市としての東京のさらなる国際競争力強化」では、東京を核とした国内外における相互交流の促進を要望。「大阪・関西万博」を通じた人流を東京ならびに全国に広げていく取り組みを「オールジャパン」で集中的に施策の強化を図ることが必要と提言している。
また、MICEの受入環境整備や誘致促進など東京へのビジネス誘客を進めていく必要性にも触れ、通信インフラ整備やデジタルサイネージなどのICTによるMICE施設の機能強化、産学官一体となったMICE人材育成の仕組みの構築、「サステナブルな会議」に向けた国内基準の策定、レガシー効果についての情報発信を要望している。
さらに、多様な文化・習慣などへの理解や配慮、消費額拡大を目指した受入環境整備も要望。多言語対応とともに、外国人の多様な宗教的、文化的習慣に配慮した環境整備に向けた支援に加えて、海外の富裕層を意識した受入環境整備も欠かすことができないと明記した。
2つ目の要望として「ツーリズム産業の持続的発展を促す支援の拡充」を挙げた。観光産業での人手不足に対する懸念が強まる中、質の高い商品・サービス提供を維持するための人材確保・育成、生産性向上の支援の重要性を指摘。中小企業の課題解決、生産性向上に資する製品・サービスを展開するスタートアップと大手・中小企業の協業やオープンイノベーション促進に向けた支援強化も要望した。
加えて、ツーリズム産業全体の取引き適正化に向けた取組み支援や事業継続に必要な当面の資金繰りなどの支援にも言及している。
3つ目は「魅力的な地域資源を活かした『国際文化都市東京』の実現」。具体的には、地場産業や歴史・文化・芸術・スポーツ資源との連携による交流促進と情報発信の強化を挙げ、競争力のある交流促進コンテンツの造成、ARやVRなどデジタル技術を活用した付加価値の高い非日常体験の提供を実現するため、地域のツーリズム関連団体や民間事業者との連携促進を要望した。
また、インバウンド消費の回復に向けて、高品質な製品・伝統工芸品などのブランド化の必要性を指摘。「Made in Japan」として高品質な製品を積極的にPRしていくことが重要とした。
このほか、地域に愛着・誇りを持つ「シビックプライド(郷土愛)」を醸成していくことが不可欠として、次世代に対する「文化教育」や「観光教育」の普及も要望した。