米国ホテルの「ジャンク手数料」問題、大手はリゾート料金を事前表示に変更【外電】

大手ホテルチェーンのハイアット、マリオット、MGMリゾートは2019年に「隠れ料金」と言われるリゾート・フィー(resort fees)の開示方法を巡る訴訟に直面した。 その後、3社は自社ウェブサイトやアプリでのリゾート・フィーの開示方法を変更している。

マリオットは2023年5月、自社サイトとアプリ上で30以上のブランドの事前支払いでリゾート・フィーを表示し始めた。また、10月には、ライセンス提携の一環として、同社のサイトとモバイルアプリでMGMリゾート17施設での表示を開始する予定だという。

ハイアットは7月から、ウェブサイトとアプリの両方で初回検索時に宿泊料金とリゾート・フィーを前もって表示する方法に変更した。

この問題は、料金開示の有無、開示の方法とともに、それがいつ開示されるかにある。予約手続きの最後に開示すると、ホテルの料金比較が無意味になる恐れがある。突然の追加料金に驚く旅行者は少なくない。リゾート・フィーがいわゆる「ジャンク手数料(Junk Fee)」と呼ばれる所以だ。

一方で、OTAでのリゾート・フィーの表示という別の問題も残る。リゾート・フィーをチェックする「リゾート・フィー・チェッカー」というサイトを運営するランディ・グリーンコーン氏は、「大手ホテルの変更は前進だが、エクスペディアやプライスラインなどの予約サイトでホテルの価格を比較する消費者にとっては、実際にはほとんど役に立たない。OTAでは1泊あたりの料金が表示されるため、リゾート・フィーのあるホテルは実際よりも安く見えてしまう。 これは誤解を招く可能性がある」と話す。

テキサス州は8月、リゾート・フィーやその他の手数料を事前に開示しなかったとして、ブッキング・ドットコムなどの運営会社ブッキング・ホールディングスを相手取って訴訟を起こした。

さらに、一部の自治体は宿泊税を課税しているが、それは宿泊料金に対してとなり、リゾート・フィーは含まれていないため、税収の損失にもつながる。ニューヨーク市などで、マリオットなどの大手チェーンは、宿泊税にリゾート・フィーも含めているが、他の企業、特に小規模な企業ではそうなっていない。

そもそも、リゾート・フィーの中身が明確でないという声も多い。プールなど全ての宿泊者が利用できるサービスだけでなく、一部の宿泊者向けの割引サービスなどが含まれているケースもあり、正当な価格を反映していないとの不満は根強い。

しかし、リゾート・フィーが今後どれほど大きな問題になるかは不明だ。

ある調査会社によると、米国のホテルグループは2019年以降、リゾート・フィーを増額しておらず、総収益に占める割合は1~2%程度だという。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との正式な提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事: Hyatt Now Discloses Resort Fee Up-Front, but Hotel ‘Junk Fee’ Issues Remain

著者:Sean O'Neill氏

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