2014年3月、オーストリア・ウィーンで日本とオーストリアの交流イベント「UTAU DAIKU」が開催される。これは、「音楽」を通して両国間の友好を深めることを目指した新しいコンサートイベント。日本で馴染み深いベートーヴェンの「交響曲第9番(第九)」を両国の参加者がウィーン学友協会で合唱するものだ。
第1回目となる2014年は、東日本大震災復興支援プログラムとして実施。震災復興のシンボルとなっている津波の流木からつくられたヴァイオリン「TSUNAMI VIOLIN」の演奏も予定しており、入場料の一部は日本大震災遺児等支援義損金として、東北各地の被災地へと寄付される。
参加するのは、ウィーン少年合唱団と福島県南相馬市の少女合唱団MJCアンサンブル。また、主催者が日本から東北各地の合唱ファンを招待し、両国の著名なソリストやオーケストラ、合唱団や演奏家と一般の合唱ファンなどとともに合計約300人の参加が決定している。なお、ウィーン少年合唱団が「第九」を歌うのは、500年を超える合唱団の歴史上初めてのことだという。
「UTAU DAIKU」の開催にあって催された記者発表会でベルンハルド・ツィムブルグ駐日オーストリア大使は、世代を超えた参加者が「第九」でひとつとなり交流することに歓迎のコメントを述べた。また、オーストリア政府観光局日本地区局長のノルベルト・レルヒ氏は、交流イベントで「美しい国を見てもらう機会」として観光客にアピールできる点を歓迎した。
また、オーストリア政府観光局の呼びかけで、旅行会社もツアーを造成し日本からの参加者を送客する。特に、日本各地の合唱部グループの参加意向は強い。合唱団単位での申込みに対応するJTBコーポレートセールスによると、参加者は今回のイベント参加を大きな目的として、ヨーロッパ周遊をしたい意向が強く、オーダーメイド型の傾向に。また、第2回以降への参加意向もすで聞かれているという。
会場となるウィーン楽友協会は1812年の設立以来、ヨーロッパを代表するコンサートホールとして知られている音楽を親しむ人にとっては憧れの会場。キャパシティの問題があり、参加者を大幅に増加させることは難しいものの、関係者は今回始まるイベントが交流事業として継続と広がりをみせることに期待を寄せている。
なお、旅行の申し込み先としては、オーストリア政府観光局はJTBのほかに西武トラベル、ユーラシア旅行社、セブンシーズ、アルパインツアーサービスを紹介。入場チケットのみの販売は、2014年1月以降に楽友協会から販売される予定で、現地を訪れる観光客の個人の参加も可能だ。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)