プレミアム商品券の経済効果は640億円、「ふるさと旅行券」成功のカギはタビナカに -みずほ総研調査より

みずほ総合研究所は、ふるさと旅行券などプレミアム付き商品等発行による消費押し上げ効果は640億円になるとの試算を発表した。総事業費2483億円のうち、経済効果は1/4~1/3程度に留まると見る。

2014年度補正予算の地域住民生活等緊急支援のための交付金(地域消費喚起・生活支援型)活用事業では、域内消費向けのプレミアム付き商品券と、域外消費向けの名産品や旅行券、その他低所得者向け商品・サービスなどの計5分野で3785件が事業化された。

このうちプレミアム付商品券は全国自治体の97%が発行を予定しており、事業費予算の合計は1589億円、全体の64.0%。旅行券などふるさと割は615億円で、全体の24.8%だ。

試算にあたり、みずほ総研では商品券で喚起された新需要と、その他の消費が減少しない分を押し上げ効果とし、「需要の先食い分」と「反動減」は消費全体を変化させるものではないと定義。政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略及び地域住民生活等緊急支援のための交付金に関する説明会資料」(2015年1月9)によると、類似した先行事例で予算の2~5倍の効果があったとの報告があるが、これらの数値にはマイナス効果が織り込まれておらず、推計が過大である可能性があると指摘する。

消費押し上げ効果が800億円前後になる可能性も提示するが、これは政府が過去に実施した消費喚起の経済政策(1999年の「地域振興券」、2009年の「定額給付金」)で、予算の3割程度の消費増加効果があったとの分析によるもの。これと同程度の効果と仮定した場合の推計だが、過去の消費刺激策よりも事業規模が小さいことから、大幅な消費押し上げ効果は難しいとする。

ただし、経済調査部主任エコノミストの風間春香氏は、試算結果以上の経済効果が現れる可能性も提示。地域の魅力が再確認され、継続的な消費増加に繋がることがポイントだとする。特に旅行に関しては「対象地域への旅行を計画していた人が旅行券を使用するだけに終われば効果は見込めない」とし、「旅行券を呼び水に観光客を増加させ、継続的な観光需要の増加に繋がれば効果は大きくなる」と指摘する。

これから、ふるさと割・ふるさと旅行券を利用した旅行者が本格的に増えてくる。単なる値引きに終わらせず、有効化させるためには、旅行者の旅行中の行動(タビナカ)へのアプローチでのひと工夫が必要であるといえるだろう。タビナカの商機を有効に生かしたり、リピータ化を目指す満足度の向上など、やるべきことは多いといえる。

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