KNT-CT各社代表が語る現状と未来、店舗とネットのオムニチャネル化からバス旅行260万人参加まで

このほどKNT-CTホールディングスのグループ各社から役員が集結しメディア懇親会を開催した。そこでは、各社代表が事業の状況や今後の方向性を説明。たとえば近畿日本ツーリスト個人旅行では、ネットと店舗の双方で商品を購入できるオムニチャネル化を視野に。2016年リオ五輪の日本代表選手団の移送を担当することになった近畿日本ツーリストは、スポーツ事業の強化を掲げるなど各社とも特色のある内容だ。ホールディングスの業績の説明とともに、発表された各社の現在と今後についてまとめた。


業績:予想を上回る推移、今期は30億円の利益確保に

IMG_9833近年、苦戦をしてきたグループの連結業績では改善の兆しが見えている。2015年7月末には業績予想を上方修正しており、KNT-CTホールディングスの代表取締役社長・戸川和良氏(右写真)は、2015年第2四半期の連結業績が「当初の予想を上回って推移している」と評価。その後の7、8月も順調で、「期を通じて最終では約30億円の利益を残せるだろう」と自信を見せた。

クラブツーリズムとの統合シナジー効果では、1~6月の連携事業による売上げが2014年14億円から19億円に上がっていることを明かした。今後も、この効果を拡大していく方針だ。

関連記事>>>

 

近畿日本ツーリスト:スポーツ事業の強化と訪日MICEに期待

近畿日本ツーリストは、スポーツ事業を強化する。代表取締役社長の小川亘氏は、同社が2016年に開催されるリオ五輪で日本代表選手団の移送を担当することになったことを明かし、2020年の東京五輪に向けてこの流れを強化していく考えを示した。

また、同社はインバウンド扱う団体ではMICE市場に期待を寄せる。小川氏は、同社がMICEの国際機関「Euromic」に加盟していることを紹介し、「DMC Japan」ブランドを活用しつつ、国際組織が持つネットワーク・コンベンション団体と連携してMICE販売拡大を図る。

2016年に開催が決定した主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、地の利を生かして近鉄グループと連携。集結する首脳陣だけでなく、帯同する各国からの関係者や国内関係者を含め、大きく人が移動することになり、この大規模イベントでの商機も逃さずとらえていく。


近畿日本ツーリスト個人旅行:ネットと店舗のオムニチャネル化へ

IMG_9848同社代表取締役社長を務める岡本邦夫氏(右写真)は、これまで続けてきた販売高を追わず、利益追求を行う方策によって「改善の兆しがみえてきた」とする。

今後の取り組みでは、店舗改革を進める考え。ネットと店舗を融合し、顧客がどちらでも商品が購入できる体制(オムニチャネル化)を進めることを明かした。それは、「店舗に新たな役割を与えることになる」として、専門店も増やしたい考えだ。ネットとの融合では、O2O(オンラインからオフラインに誘導)を発展させることも視野に入れている。

昨年開始した「e宿」では、宿泊施設からの評判も上がり始めているという。この事業は、宿泊施設が宿泊プランを無料掲載し、自由に在庫管理や料金の設定などができるサイト。2015年内にはカード決済導入や小グループの取扱いも始める計画で、今後も事業に磨きをかけていく。


クラブツーリズムなど訪日事業:高品質をポイントに体験型へ

事業戦略統括部 海外旅行部長兼訪日旅行部長の池畑孝治氏は、グループ内の訪日旅行について「高品質・高付加価値をポイントに個人旅行事業を強化していく」考え。そのために、「体験」を重視した商品を提案していく方針だ。

現在、グループ内の訪日事業でクラブツーリズム運営の「YOKOSO Japan Tour」では、訪日旅行専用・日本人との混乗ツアー合わせて年間1000コースを発表。訪日外国人向けネット宿泊予約サイト「JTO(Japan Hotels Online)」では、在庫を保有する旅館を中心とした2100施設の1万プランを掲載している。2名催行保証をする個人旅行「2toGo」なども展開しており、クラブツーリズムや海外拠点のネットワークなど他事業部と連携して販売を行っている。

訪日団体では、MICEをメインに。近畿日本ツーリストの小川氏の方針と同様に、スポーツ、国際会議、インセンティブに注力する。どの分野でも本当の日本を感じてもらうことでリピーターになってもらうような企画を提案したい考えだ。


クラブツーリズム:2014年バス旅行の参加者が260万人に

クラブツーリズムのバス旅行事業が好調だ。2014年の取扱い人数は、260万人。今後も、その勢いを加速させるために、88台まで拡大した同社専用バスの標準仕様を化粧台・トイレ付にしていくなど、事業に磨きをかける。

クラブツーリズムの代表取締役社長・小山佳延氏は「バス旅行が他の旅行への入り口になる」と説明。同社は会員組織を強みとし、リピーターの多いのが特徴で、バス旅行参加者が将来の国内宿泊付のツアーや海外旅行への参加者になるとの考えだ。

また、同社商品では“テーマ”を設定した旅が好調で、小山氏は「(顧客が)どこに行くかでなく、何をするかで旅を選んでいる」と話し、アクティブシニアが趣味で集まる仕組みづくりをさらに強化していく。

2020年に向けてはパラリンピックの開催などを受けてバリアフリー化が進むことを予測する。そのため、2015年4月にはユニバーサルデザイン旅行センターを立ち上げているが、その動きを加速させる方針だ。

なお、同社は、旅行事業の他、アクティブシニアへの新規事業としてフィットネスクラブ家事代行ビジネスをスタートさせている。

トラベルボイス編集部:山岡薫

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…