タイ観光大臣が来日、爆発事件後の観光は「平穏で安全」呼びかけ、安全対策も発表

タイの観光・スポーツ大臣であるコープガーン・ワッタナワラーングーン氏が来日し、2015年8月18日にバンコクで発生したテロによる爆発事件後の状況と、今後の日本人旅行者へのアプローチ方針などを発表した。コープガーン大臣は事件について、「タイ国民は心を痛めているが、前進する力強さを持っている。観光業も例外でなく推進していく」として、GDPの10%を占める主要産業である観光をさらに前進させる意気込みを語った。


現在の現地の状況は? -監視カメラ増設などの安全対策

大臣によると、現在バンコクでは、軍や警察、観光警察、観光事業者やボランティアなど約6000人が連携し、地域ごとに観光客の安全確保の活動を行なっているという。

また、バンコク都内の監視カメラを以前より1万台多い5万8000~5万9000台に増加したほか、安全に関する情報を伝える「コミュニティ・ウォッチ」という動きも生まれている。「今日のキーメッセージは、タイは平穏で安全であること。受け入れ態勢を信頼してほしい」とアピールした。


爆発事件直後、旅行者はどう動いたのか? -回復は順調

爆発事件直後はタイ旅行を予定していた旅行者のキャンセル発生などの損失はあったものの、大きな影響は1か月~6週間程度まで。10~12月の予約状況は伸びており、2015年の目標である前年比16.5%増の2880万人(全世界からの旅行者数)は達成する見込み。「復興の明るい兆しが見えている」と順調な回復を強調する。

その根拠として、ビジネス目的の渡航者の戻りが早いことをあげた。大臣は、通常、危機が発生した際、(1)ビジネス渡航者、(2)個人旅行者(パッケージツアー含む)、(3)グループの順で戻るが、今回はビジネス渡航者の戻りが以前の危機よりも早いと説明する。

日本人旅行者数は2.7%増の約130万人を目標としており、1~7月の累計で78万6000人。全世界の市場と同様の推移を見せているという。


日本人旅行者への取り組み -女性向け商品やタイらしさを訴求

現在、タイを訪れる日本人旅行者の属性をみると7割がリピーター、また7割が男性であることから、今後は「学生からOL、主婦、エグゼクティブまで、女性向けの旅行会社の商品造成に力強くプロモーションをかけていく」方針だ。

具体的には、「LADY’S JOURNEY 女子旅 in タイランド」のリーレットを制作し、ウェルネスやスパ、料理、ショッピングなど、女性が好む素材を紹介。例えば、スパでは北部のランナー王朝や東北のイサーンなど、地域で特色が異なることや、料理も食事を味わうだけでなく調理体験の機会も用意する。

また、アユタヤやスコータイなどを走る「世界遺産マラソン」の開催を検討していることも明かした。コープガーン大臣は「タイそのものをリブランドし、質を重視した素材を揃えることに注力している。レジャーデスティネーションとして新たな視点で見てほしい」と訴えた。

一方、男性客やリピーターも重視。「タイらしさに触れる旅」を訴求するキャンペーン「ディスカバー・タイネス」の一環として、バンコクやチェンマイから一歩踏み込んだ小さな村を組み合わせた周遊旅行を推進する。「観光で触れるものだけではなく、本当のタイの姿を見てほしい」とアピールする。


今後の目標 -旅行会社とのタッグで日本人出国者の1割をタイへ

今回、コープガーン大臣は、新たに就任したタイ国政府観光庁(TAT)総裁のユッタサック・スパソーン氏とともに来日。プレスミーティングの前には、日本の旅行会社10社と日本旅行業協会(JATA)、泰日旅行業協会とのトップ会談を行ない、タイへの日本人訪問者数の目標を日本人出国者の1割とすることで合意した。例えば1700万人の場合は170万人を目指すというもので、当面は170万人が目標値となる。

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