国土地理院は、日本を訪れる外国人に向けた地図表現上の表記ルールと記号案を発表した。
これは、観光立国の実現や2020年の東京東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みとして、2014年に開設された「外国人にわかりやすい地図表現検討会」で協議されたもの。今後、国土地理院による英語版地図作成時に採用するほか、広く周知していく前提となっている。
内容は、英語表記ルールと地図記号から構成されている。今回まとめられたルールの概要は以下のとおり。
地図に記載する地名等の英語表記ルール
ローマ字表記から英語表記への変換ルールを設定。ローマ字表記のうち、地形や種別を表現する部分を英語に置き換える「置換方式」を基本とする。
ただし、置換方式が適用できない場合や置き換え後の地名が日本人にとってわかりにくい場合は「追加方式」を採用し、ローマ字表記に英語を追加して表現する。
実際の変換例は以下のとおり。報告書には、置換方式と追加方式の適用判断については、フローチャートなども記載されている。
- 置換方式の例:
- 筑波山 → Mt. Tsukuba
- 利根川 → Tone River
- 追加方式の例:
- 月山 → Mt. Gassan (置換方式は適用不能)
- 荒川 → Arakawa River
地図記号
外国人のアンケート結果にもとづいて、訪日外国人旅行者に必要な施設として、以下18種類について地図記号イメージを設定する。
- 外国人がよく訪れる場所(12種類):
- ホテル、レストラン、ショッピングセンター/百貨店、トイレ、寺院、神社、温泉、博物館・美術館、教会、モスク、鉄道駅、空港
- 便利な場所(4種類):
- 観光案内所、郵便局、銀行(ATM)、コンビニエンスストア/スーパーマーケット
- 緊急時に訪れる場所(2種類):
- 病院、交番
地図記号のイメージ例は以下のとおり。報告書(全文)には、18種類すべてのイメージ案が記載されている。
国土地理院では今回検討された表記ルールを英語版地図作成の基本として適用。関係機関や地方公共団体、民間の地図会社などにも広く周知していく方針。
また、18種類の地図記号案については、2016年1月7日から2月7日まで意見募集を実施。視認性に配慮した簡略化などのブラッシュアップをおこなったうえ、具体的な地図記号として2015年度内に作成して公表される予定となっている。