経済産業省は2015年12月、観光や地域経済を対象にした統計データのオープン化、分析システムの整備強化を発表した。
経産省と内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部事務局」が進める「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」では、訪日外国人の消費情報などを集計、グラフ化する機能を追加。ほかにも、複数事業者の参画により、「観光予報プラットフォーム」「訪日外国人向け情報配信プラットフォーム」のデータ実証を開始。企業や自治体といった組織だけでなく、誰もが自由に利用できるプラットフォームの整備が加速している状況だ。
「RESAS」は、2015年4月に初公開されたシステムで、全国地方自治体の産業や人口、観光客の流動状況に関するビッグデータを集約して分析、一般利用者がマップとして可視化することができるもの。
今回新たに追加された機能は、「地域経済循環マップ」と「林業マップ」。「地域経済循環マップ」は、都道府県または市町村単位で地域の資金の流れを分析できるもの。生産・分配・支出の3段階で見える化する「地域経済循環図」のほか、3つの段階それぞれの詳細も確認できる。画面イメージは以下のとおり。
また、これまで搭載されていたメニュー「観光マップ」では機能強化を実施。地域別に外国人によるクレジットカード消費状況を分析・可視化できる「外国人消費花火図」や、取引件数や単価を表示する「外国人消費分析」機能を追加。また、2016年4月には、アプリを使った経路検索データを使った観光施設の検索頻度を分析してマッピングできる「目的地分析」機能の公表も予定されている。
「観光マップ」の外国人消費花火図のイメージは以下のとおり。
また、「観光予報プラットフォーム」では、全国約6575万泊以上にわたる過去の実績や予約情報をもとに、宿泊客の属性などの集計やランキングを視覚的に表示。同時に、観光地の混雑度、国内外からの注目度、宿泊推移などについて6か月先までの予測情報を提供開始した。このプロジェクトには、参画企業として、JTBコーポレートセールス、創建、オープントーンの3社が加わっている。
もうひとつは、「訪日外国人向け情報配信プラットフォーム」。これは、訪日外国人の行動分析からストレス状況を把握し、サービス事業者向けにデータ提供を行うもの。旅行者の属性に応じた情報配信やクーポン提供など、マーケティング用途での実証を進める。ROI、電通、ナビタイムジャパン、ブログウォッチャー、リクルートライフスタイルの5社が参画するプロジェクトとして進行中だ。
以下は、「観光予報プラットフォーム」の紹介映像だ。使用できるデータやその集計、グラフ化のイメージをつかむことができる。
観光予報プラットフォーム紹介映像(Youtube:約6分半)
なお、経済産業省と総務省が連携して設立した「IoT推進ラボ」では、2015年12月15日から2016年1月15日までの間、観光分野を対象にした「ビッグデータ分析コンテスト」を開催中。その関係で、期間中は「観光予報プラットフォーム」の一部機能が制限されている。