英キュナード社は、豪華クルーズ客船クイーン・エリザベス(約9万トン)など3客船でワールドクルーズを発表した。日本市場にとって目玉は、今年が初めてとなるクイーン・エリザベスの「大阪発着クルーズ」となりそうだ。123日間のワールドクルーズ中、日本に寄港する際の区間クルーズとして実施するもの。2017年に初めての試みとして発売した「神戸発着」では、発売当日に即完売となったといい、初寄港の高知や関門海峡、瀬戸内海を航行するルートと短期間で気軽に乗船できる豪華客船でのクルーズが今回も人気を集めそうだ。
クイーン・エリザベスの大阪発着クルーズは、2018年3月15日から22日までの7泊8日。釜山や高知に寄港する区間販売を設定し、大阪発着7泊料金は16万2000円から。豪華客船でありながら身近な商品となる。
商品発表の記者会見には、高知県から尾崎正直知事が登壇。今回のクイーン・エリザベスの初寄港を歓迎し、高知の豊かな観光資源をアピールした。知事は、港から観光名所の高知城まで車で20分というアクセスの良さ、2017年に完成する歴史博物館、四万十川など水源や食文化、瀬戸内海とのルートのつなぎやすさなど「アジアのゲートとなる位置づけになる港」と自信を見せた。
キュナード社の日本における販売を行うカーニバル・ジャパン社によると、高知が寄港地として選ばれたのは英国における日本ブームが挙げられるという。オリンピック効果だけでなく、ラグビーワールドカップで注目を集めていること、開国を含めた近代史のなかで歴史上の人物などが英国人にもよく知れている。多くの乗客を占める英国人が関心の高い食文化や歴史の地として寄港地として外せないという決断をした。
代表取締役社長の堀川悟氏は、2018年の大阪発着クルーズを販売することで日本で新たな市場が開拓できると意気込む。2017年の神戸発着クルーズでは、新たな顧客層の申込みが多く、販売即日完売という人気を博した。続いて2018年に短期間・低価格の大阪発着クルーズを提供することで、クルーズの敷居の高さを取り除き、経験者を増やすことが中長期的なビジネス拡大につながるとの考えだ。
さらに、堀川氏は英国キュナード社から日本市場に対する期待が高いことも明かす。アジアにおいて日本人乗客はダントツ首位のシェアを誇り、今回の大阪発着クルーズも本社側の期待が高いという。乗客定員約2000人のところ、日本人乗客には25%程度が提供される予定で、本社の期待の高さが表れているという。
大阪発着クルーズの日本での予約開始は12月1日の予定。7泊8日の旅程で一番人気が高いというバルコニー付き客室は27万2000円、プリンセス・スイートは44万9000円。今後、旅行会社の商品として発表されることになる。
サウサンプトン発着122泊のフルワールドクルーズは、英サウサンプトンを起点に25か国39港に寄港。パナマ運河を通航し、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ、シドニーのオペラハウスなどを展望する伝統的なコースを周遊する。初寄港となるのは高知のほか、ハミルトン、オーチョ・リオス、プエルト・ケツァル、モーレア島、マラッカの6か所。全区間に日本人スタッフが乗船予定で、240万1000円から。
このほか、クイーン・メリー2(約15万トン)ではニューヨーク発着の世界一周(23か国45港の120泊)を計画。クイーン・ビクトリア(約9万トン)ではキュナード初の2~3か月間コースとして、南米75泊のフルクルーズを用意。15ヶ国26 港をめぐる予定だ。
トラベルボイス編集部 山岡薫