ホテル客室不足が2020年に約4.4万室に、深刻なのは東京・大阪、外国人旅行者の倍増で ―みずほ総研推計

みずほ総合研究所はこのほど、国内宿泊市場を対象にする調査レポート「訪日外国人4000万人時代の宿泊施設不足」を発表した。日本人と外国人の宿泊需要を分析し、「2020年に訪日外国人数4000万人」を掲げる政府目標と照らした予測をおこなったもの。

それによると、標準的なシナリオでは、2020年の訪日外国人の宿泊需要は3884万人で2015年比1割程度増加。2015年の外国人シェア(1割強)はほぼ2倍の20%に至り、政府の目標が射程圏内となった。その一方で、首都圏を中心とする宿泊施設不足が深刻になる状況も明らかになった。

※ここでいう「標準的なシナリオ」とは、日本人と外国人の両方に対し、年齢別の旅行回数や日数、県別シェアなどの変数を現状の「横ばい」と想定したもの。同研究所ではこのほか、複数の変数について「上振れ」「下振れ/分散」のシナリオを想定。合計9通りのシナリオで試算をおこなっている。

同社による2020年までの訪日外国人数の試算値推移は以下のとおり。2020年の訪日外国人数の国別割合を36か国推計でみると、最も構成比率が多いのは中国で、2015年の26%に対して2020年は42%。欧米諸国は2015年の13%から9%に減少し、韓国や台湾などNIEs諸国も2015年の49%から39%に減少する推定となっている。

みずほ総合研究所:報道資料より

一方、標準的な「シナリオ1」では、のべ宿泊者数は2015年の1割増の5.5億人。国内13県で合計約4.4万室の宿泊施設が不足する見通しだ。そのうち特に客室不足が深刻なのは、東京(1万7728室不足)と大阪(1万4273室不足)。そのほか北海道や千葉、愛知、京都などでも1000室以上の不足が見込まれるものの、都市圏と地方圏の格差が広がる可能性が高い結果となっている。

みずほ総合研究所:報道資料より

標準的なシナリオ(シナリオ1)における2020年の不足客室数のヒートマップは以下のとおり。

みずほ総合研究所:報道資料より

この調査は、同社が観光庁や日本政府観光局(JNTO)、IMFなどの統計に基づき分析したもの。図表中、「NIEs」は韓国、台湾、香港、シンガポール、「ASEAN5」はタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、「欧米」は英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、米国、カナダ、豪州が対象。

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