ツーリズムEXPO ジャパン2016が2016年9月22日、開幕した。初日には、展示会に先駆けて行われる商談会に国内・海外のバイヤー・セラーをあわせて約620社910名が参加。開会式に続いてグローバル観光フォーラム、一般客に日本文化を発信する「JAPAN NIGHT」が開催され、その内容は年々拡大するイベントを印象付けるものとなった。
JAPAN NIGHTと同時進行で行われた観光産業関係者のための「国際交流の夕べ」には、来賓として菅官房長官が挨拶に立った。菅氏は、政府が観光を重要施策のひとつとして重要する姿勢を改めて強調。観光インフラの整備やCIQの改善など、2020年の訪日外国人4000万人に向けた目標に対して「できることはすべてやる」として決意を示した。
開会式で挨拶にたった国交省の石井啓一大臣は、拡大するインバウンドで観光産業が盛り上がる中、国内旅行と日本人の海外旅行の重要性を指摘。双方向の交流で観光振興することが、政府の目指す観光先進国への実現につながる点を強調した。また、展示会で九州・東北の観光復興やユニバーサルツーリズムをテーマにした企画が展開されることを歓迎。どちらも重要な課題であり、ツーリズムEXPOがその推進力になることに期待感を示した。
「持続可能なツーリズム」をキーワードとしたグローバル観光フォーラムには、観光庁の田村明比古長官が冒頭挨拶で登壇。観光先進国として競争力を高めていくために重要なポイントとして、「人材育成システムの確立」と「持続可能な観光の実現」あげた。そのためにインバウンドだけでなく若者が海外に出かけて学ぶ双方向ツーリズムが重要で、すべての旅行者が快適に旅行できる環境づくりにつながる点を説明した。
日本のインバウンドが拡大する中、グローバル観光フォーラムでは観光国連世界観光機関(UNWTO)タレブ・リファイ事務局長が「(観光の)成長とともに責任が生まれる」と指摘。日本においても、拡大する観光産業を持続可能なものに作り上げることの重要性を改めて強調した。フォーラムでは、キーワードを「持続可能なツーリズム」としており、その詳細は後日掲載する。
23日からの展示会は140か国・地域と47都道府県から1662コマの展示が東京・ビックサイトで行われる。来場者数の目標は過去最高の18万5000人だ。
来年から新たなステージに -日本政府観光局と共同開催へ、2019年には地方開催も
開会にあたっての記者会見では、日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長が今後のイベントの方針についても言及した。JATAと日本観光振興協会(日観振)のイベントを共同開催するようになって3年、「ホップ・ステップ・ジャンプ」の3回を経て、来年以降は「次のステージが始まる。2017年からは新たなステージに入りたい」(田川氏)と話す。
具体的には、主な主催団体に日本政府観光局が加わり、3つの観光機関で運営をする形態に進化させるというもの。さらに、従来、海外向け英語表記では「JATA Tourism Expo Japan」としてきたものを、JATAの冠を外し、「Tourism Expo Japan」として発信・ブランディングをしていくという。田川氏は、「(世界における)位置づけを高めていきたい」とアジアトップクラスのイベントに育て上げる意欲を示す。
内容としては、BoBのさらなる強化を図る考えで、商談会機能を強化。3つの観光機関の連携を深めたビジネスモデル確立を目指す。さらに、2019年以降は東京以外の地方開催を検討しているという。