日本観光振興協会(日観振)と日本旅行業協会(JATA)は、9月22日に開幕したツーリズムEXPOジャパンで、ジャパン・ツーリズム・アワードの表彰式を開催した。
同アワードは昨年、国民の観光に対する理解と認識を深めてもらう目的で創設したもの。第2回となった今年の応募件数は昨年を上回る158件。第1回大賞を受賞した「瀬戸内国際芸術祭実行委員会」から地元の反響が大きかったとのフィードバックもあり、昨年の応募数を大きく上回った。
受賞団体の審査基準は「先駆性・発展性」「持続性」「社会性」。日観振会長の山口範雄氏によると、今年の受賞団体はインバウンドを中心に地方の魅力をツーリズム、地方創生につなげる取り組みや、ユニバーサルツーリズム、人材育成への取り組みが目立った。山口氏は「これらの取り組みをツーリズムEXPOジャパンで周知することで、国内外の関係者に観光の力を発信したい」と、同アワードの意義を強調した。
大賞を受賞したのは、飛騨高山国際誘客協議会の「官民協働での外国人観光客の誘致・受入」の取り組み。長年にわたる外国人誘致プロモーションと受け入れ態勢の整備で高い評価を受け、2年連続の受賞となった。
賞を受け取った高山市長の國島芳明氏は、「観光誘致は行政のみならず民間、多くの人と心を一つにして協力することが原理原則。長年その思いで努めてきたことが認められ、光栄に感じる」と喜びを語った。審査委員長を務めた本保芳明氏(首都大学東京特任教授/東京工業大学特任教授)は「取り組みの改善・質の向上が続くのは、改革をする仕組みがあるからこそ。継続して進化する力が重要」と、選考理由を説明した。
また、UNWTO部門賞はKNT-CTホールディングスが受賞。世界観光倫理憲章を理解し、グループ経営や個々の企業活動に反映するだけでなく、社員に対する啓発を行なっていることも評価した。長年にわたり教育旅行やユニバーサルツーリズムに対する取り組みや、環境保全活動、「まつりインハワイ」などの地域交流事業にも取り組んでおり、同グループのクラブツーリズムが実施した視覚障がい者向けの自転車運転体験ツアーは、今年度の領域優秀賞「国内・訪日領域 ツーリズムビジネス部門」も受賞した。
同ツアーは全盲の同社顧客の「一度でいいから車の運転をしてみたい」という夢にこたえて開発に着手したもの。視覚障がい者が本物の車を運転する体験のプログラム化は世界初だという。
なお、国土交通省政務官の大野泰正氏が祝辞として「賞に漏れた方が多いが、その1つ1つにもてなしの心があり、笑顔を作っている。これからも継続して多くの笑顔を作り、日本の観光のみならず、相互理解をしっかりと進めて世界平和が確固たるものになることを、このアワードを通して目指してほしい」と期待を示した。
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