熊本の観光復興へビッグデータ活用、DMOが観光分析データベース構築へ、ナビタイムら4社と連携で

日本版DMO候補法人の株式会社くまもとDMCは、ビッグデータと高度データサイエンスを活用した観光振興専用の分析データベースを構築することを発表した。熊本県の観光客増加と現地消費の拡大に向けたブランディングやマーケティングにいかすとともに、県内の自治体や観光事業者などの調査・分析の受託やコンサルティングを行なう。

くまもとDMCは熊本地震後の観光復興を加速させる目的で、2016年12月に設立。地震で減少した訪問者数の回復とともに、観光ビジネスと地方産品販売の両輪で「稼げる地域づくり」を目指している。

代表取締役社長・村田信一氏は、同社が「地元銀行である肥後銀行の主導で設立した民間組織。機動力に溢れ、収益性に主眼を置いている」と、他のDMO/DMCとの違いを強調。マーケティングにおいても、「圧倒的なマーケティング力で全国でもユニークな取り組みをしていく」と、力を入れる方針だ。

今回の分析データベースはその基盤となるもので、分析に使用するビッグデータの提供元として、ナビタイムジャパンやAgoop、eBase、カスタマー・コミュニケーションズの4社と提携。各社の目的地検索データやインバウンドGPSデータ、モバイル端末の位置情報、飲食・小売のPOSデータなどを、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」に蓄積する。

データの分析には、データビーグルの分析ソフト製品を使用。データサイエンスの専門知識がない人でも簡単に扱えるように開発した製品で、これにより、くまもとDMCは広範なビッグデータの分析を省力化し、戦略策定や各所との調整、施策実行といった現場の業務に注力できる。くまもとDMCによると、マーケティング業務は従来の3分の1以下に縮小できるという。将来的には同分析データベースを、導入を希望する全国のDMOに販売していく考え。

観光振興専用の分析データベースのイメージ

分析データベースの構築を担うデータビーグルの取締役・西内啓氏は、「くまもとDMCには、DMCにしかできない戦略立案と現場での調整・実施、ゴール達成にリソースを使ってほしい。そのために必要なデータホルダー各社やクラウド基盤などのバックアップ体制は、自分が考える限り、日本代表と言えるメンバーで作らせていただいた」と、観光振興の分析データベースとしての盤石さをアピールした。

なお、くまもとDMCでは2017年4月に「熊本×観光×食」の情報を発信するウェブサイト「おるとくまもと」を開設。同ウェブサイト上で宿泊やアクティビティ、着地型旅行などの旅行商品や熊本県産品の販売も行なう計画で、第2種旅行業登録や酒類販売業免許の取得に向けた準備を行なっている。旅行商品に関しては国内外のOTAやメタサーチなど、販路を広げる考えだ。

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